概要:FX市場において、アジア通貨が対ドルで一斉に上昇するという珍しい動きが見られた。通常であれば地政学リスクや世界的な経済不安が高まると「安全資産」として円が買われやすいが、今回は日本円が取り残される形となった。市場の関心は米中関係の行方、そしてアメリカの政策運営に向けられている。背景には何があり、今後注視すべき点はどこなのか。
今週初め(5月5日週)、アジア各国の通貨が対ドルで軒並み上昇した。特に韓国ウォン、台湾ドル、中国人民元の上昇が顕著だった。一方で、通常「安全資産」として買われやすい日本円には目立った上昇は見られなかった。なぜこのような動きが起きたのか、そして今後の注目点はどこにあるのか。本稿ではその背景を読み解く。
5月初旬、ドルは複数のアジア通貨に対して急落した。人民元は7.28元から7.18元、新台湾ドルは32元から28.9元、韓国ウォンは1,439ウォンから1,365ウォン近辺までドルに対して上昇した。
この動きの主因は2つある。
第一に、中国当局がアメリカとの貿易協議の再開を検討していると報じられたことで、市場では米中関係の改善期待が高まり、アジア通貨への買いが進んだ。
第二に、アメリカは他国との貿易交渉で明確な進展を見せておらず、米経済の先行きやドル資産に対する不信感が強まり、ドル指数が下落したことが挙げられる。
とくに韓国ウォンの動向については、今後2つの関税問題が重要なカギを握るとみられる。
1つは、アメリカと韓国間の関税交渉だ。半導体や自動車産業をめぐる関税の行方次第では、ウォンに強い影響を与える可能性がある。もう1つは米中間の関税問題だ。米中は韓国にとって重要な輸出相手国であり、両国間の摩擦が続けば韓国経済にも打撃を与え、ウォンの下押し要因となる。
また、韓国の総選挙後には日中韓3か国間での自由貿易協定(FTA)交渉再開の可能性もあり、協定が締結されればウォンのさらなる上昇材料になるだろう。
関税政策については依然として不透明感が強い。特に、アメリカのトランプ前大統領の政策スタンスが再び注目されている。トランプ氏は政策転換が激しく、内閣には異論を唱える人材も少ないため、政策の誤りを修正する仕組みが乏しい。その結果、政府の経済運営が市場と乖離するリスクがある。
中国は強硬な姿勢を崩しておらず、こうした状況の中で他国が自国の利益を最大化しようと駆け引きを強める構図も見られる。日本も対米姿勢を従来より強硬にしており、今後の動向が注視される。
現在、市場では米中貿易の行方について以下の3つのシナリオが想定されている:
このうち、2番目および3番目の可能性が高いと見られており、関係正常化には一定の時間がかかると予想される。こうした状況は韓国経済にとっても不透明感をもたらす要因だ。
テクニカル分析の観点から見ると、ドル/ウォン相場は2024年9月〜12月の上昇局面におけるフィボナッチ調整61.8%の水準(約1,371ウォン)を試す展開となっている。
この水準を明確に割り込めば、さらに1,340ウォン、あるいは1,310ウォン付近まで下落が進む可能性がある。一方、反発すれば1,393〜1,415ウォンの水準(50〜38.2%)まで戻す余地もある。ドルの信頼性低下やアメリカ経済の不安定化が進めば、非米通貨全体がさらに上昇する局面も想定される。
図3:USD/KRW週足チャート
アジア通貨の対ドル上昇は、一時的な変動というよりも、米中関係の再構築やアメリカへの信頼低下といった構造的な変化を反映している可能性がある。特に韓国ウォンについては、今後の関税交渉や東アジアにおける貿易枠組みの進展がカギを握る。市場は当面、ドルの信認とアジア経済の連動性を見極めながら、慎重に推移する展開が続くとみられる。
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