なぜ個人投資家は負けるのか？ 失敗から学ぶ株式投資の勝ち方

株式投資は、プロの投資家も個人投資家も、利益と損失の両方を経験するものです。しかし、なぜ個人投資家は機関投資家に比べて、損失を出す確率が高いのでしょうか?そして、損失を回避し、そこから回復するにはどうすれば良いのでしょうか?

この記事では、個人投資家が株式投資で損失を出しやすい原因をまとめ、損失を被った際に役立つ対処法をいくつかご紹介します。この記事が、あなたの株式投資に役立つことを願っています。

個人投資家が株式投資で失敗する8つの理由

個人投資家が株式投資で失敗する理由は一つではありません。知識不足からメンタル面まで、様々な要因が組み合わさって損失につながることが多いです。

①専門知識の不足と無計画な参入

専門分野では優秀な成績を収めていても、株式市場では通用しないことがあります。これは、株式投資には特定の知識が必要だからです。十分な準備なしに市場に参入するのは、宝くじを買うようなもの。運任せでは勝ち続けることはできません。

多くの個人投資家は、他人の噂話に流されがちです。自分自身の投資哲学や売買のロジックを持たず、思考停止状態で株価の上下に一喜一憂しているだけでは、損失を避けることは不可能です。

②非現実的な高リターンを追求する

高いリターンを求めると、それだけリスクも高くなります。これは投資の鉄則です。しかし、多くの個人投資家は、短期間で元本を倍にしようとするなど、非現実的な目標を立ててしまいがちです。

投資の神様であるウォーレン・バフェットですら、年間平均リターンは20％程度です。短期で100％を超えるようなリターンを狙うのは、まさに夢物語。結果的に失敗するのは当然と言えるでしょう。

③市場のニュースに左右されやすい

個人投資家は、ニュースやメディアの報道といった限られた情報源に頼って投資判断を下す傾向にあります。しかし、これには致命的な弱点があります。それは、情報の入手が遅れることと、真偽を見分けるのが難しいことです。

市場に出回る情報の多くは、機関投資家が個人投資家に株を売りつけるための罠であることも少なくありません。たとえ情報が正確だとしても、プロの投資家はすでにその情報を利用して利益を得ており、個人投資家に回ってくる頃には美味しい部分は残っていないことが多いのです。

④投資対象を十分に理解していない

成功する投資の秘訣は、投資対象を徹底的に理解することです。しかし、多くの個人投資家は、株の背後にある企業について深く知ろうとしません。ただ「良さそうだから」とか、「みんなが買っているから」という理由で投資を決めてしまいがちです。

何をしている会社なのか、経営状況はどうなのか、といった基本的なことさえ気にかけないまま投資するのは、目隠しをして道を歩くようなものです。これでは、損失を事前に防ぐことも、状況に応じて適切な判断を下すこともできません。

⑤メンタルの弱さ

株価が急騰すれば有頂天になり、少しでも下落すれば意気消沈する。多くの個人投資家は、感情の波に乗りすぎてしまいます。感情に左右されると、リスク許容度を超えたハイリスクな銘柄に手を出したり、逆に良い銘柄を恐怖心から安値で売却してしまったりします。冷静さを保てなければ、合理的な投資判断はできません。

⑥損失回避の心理

行動経済学における「損失回避性」とは、人間は利益を得る喜びよりも、損失を被る苦痛をより強く感じるという心理です。たとえ将来的に大きく値上がりするはずの株を持っていても、短期的な株価の変動による日々の小さな損失に耐えられず、売却してしまうことがあります。これにより、本来得られるはずだった大きな利益を逃してしまうのです。

⑦頻繁な銘柄変更

「せっかく自分で調べて選んだ株なのに、値上がりが遅い」「株価がなかなか上がらない」といった理由で、短期間で別の株に乗り換える個人投資家が少なくありません。しかし、短期間での売買は非常に難しく、リスクも高まります。結局、乗り換えた株で損失を出し、元の株が値上がりするのを指をくわえて見ているだけ、という事態に陥りがちです。

⑧全力投資による精神的疲労

株式市場には、好景気と不景気のサイクル（ブル・ベアサイクル）があります。市場全体が下落するベアマーケットでは、ほとんどの銘柄で利益を出す機会はありません。

にもかかわらず、常に全資金を投じてしまう個人投資家は少なくありません。資金をフル活用しようとするあまり、相場のサイクルに乗り遅れ、損失を抱え込んでしまいます。また、常に全力で投資していると、精神的に疲弊します。含み損を抱えるストレスから、いざ反発が始まったときに動けなくなり、利益を上げるチャンスを逃してしまうこともあります。

損失を被ったときの対処法

すでに損失を抱えてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

ここでは、いくつかの具体的な対処法をご紹介します。

①損切りして撤退する

保有している株が、テクニカル分析などに基づいても回復の兆しが見られない場合、損失がさらに拡大するのを防ぐために、損切り（ストップロス）を決断しましょう。

潔く売却し、新しい投資先を探す方が賢明な場合があります。損失を確定させるのは辛い決断ですが、より大きな損失を回避するためには必要なことです。

②ポジションを調整し、リスク・リワード比率を見直す

もし保有株がテクニカル分析によって反発する可能性が高いと判断できる場合は、ポジションの一部を減らすことを検討しましょう。全てを売却する必要はありません。

ただし、すでに損失が出ているため、リスク・リワード比率を再評価する必要があります。これは、潜在的なリターンとリスクのバランスです。サポートライン（支持線）に近い位置で購入するほどリスクは小さく、利益幅は大きくなります。逆に、レジスタンスライン（抵抗線）に近い位置で売却すべきです。

③投資戦略を見直す

どの銘柄に投資しても損失が出る、しかも売買の頻度が高いという場合は、自身の投資戦略や手法が自分に合っているかを見直しましょう。

投資目標やリスク許容度、資金状況に合った戦略やテクニカル指標を使っていなければ、成功するはずがありません。たとえ有望な株を保有していても、戦略が間違っていれば利益を出すのは難しいでしょう。

④感情をコントロールする

株式投資で成功するには、利益が出たときも損失が出たときも、冷静さを保つことが重要です。利益が出たからといって過信せず、損失が出たときもパニックにならず、次の機会を冷静に待ちましょう。

株価暴落の5つの兆候

個人投資家は、株価上昇時に利益を出すことが多いため、暴落の兆候を事前に知っておくことで、大きな損失を避けることができます。以下に挙げる5つの兆候は一般的な経験則であり、投資を推奨するものではありません。

①ブル・ベア分水嶺

ブル・ベア分水嶺とは、株式市場の強気相場（ブルマーケット）と弱気相場（ベアマーケット）を分けるラインのことです。一般的に、250日移動平均線がその指標として使われます。これは過去1年間の終値の平均を表し、長期的なトレンドの参考になります。

株価指数が250日移動平均線を下回ると、市場がブルマーケットからベアマーケットに移行したと判断する投資家もいます。逆に、上回るとベアからブルに転換したと見なされます。

②指数が高値を更新できない

過去のデータから、市場の勢いが強いときは、将来的なリターンも良くなる傾向にあります。しかし、株価指数が一定の範囲内で長期にわたって推移し、なかなか高値を更新できない場合、大規模な調整（下落）が起こる可能性が高まります。

③株式市場への過熱した議論

家族や友人がこぞって株式投資の話をしているとき、それは警戒すべきサインかもしれません。多くの個人投資家が利益を出している状況は、株価と出来高が同時に上昇していることが多く、機関投資家が保有株を個人投資家に売りつけ、市場から撤退する準備をしている兆候であることがあります。

➃主要構成銘柄の動向に注意

株価指数は、その主要な構成銘柄の動向に大きく左右されます。例えば、日経平均株価であれば、ファーストリテイリングやソフトバンクグループといった、影響力の大きな銘柄の動きが重要です。

もしこれらの主要銘柄の株価の動きが、指数全体の動きと一致しない場合、指数が下落トレンドに入る可能性があります。

⑤株価指数とVIX指数の同時上昇

VIX指数（恐怖指数）は、市場の投資家が今後30日間の市場変動をどう予測しているかを示す指標です。

通常、株価指数が健全に上昇しているとき、VIX指数は比較的低い水準にあります。しかし、株価指数とVIX指数が同時に大きく上昇している場合、投資家が市場に対して非常に楽観的になっていることを示しています。

こうした状況では、わずかなネガティブなニュースでも、投資家が期待と現実のギャップを感じ、一斉に株を売却する可能性があります。これが、株価の急落を引き起こす一因となるのです。

まとめ

多くの個人投資家が株式投資で損失を出してしまうのは、単に専門知識や分析スキルが不足しているからだけではありません。誤った投資心理や人間が持つ弱点も、損失の大きな原因となっています。

もしあなたが株式市場で成功したいと考えるなら、この記事で挙げたような問題をできる限り避ける努力が必要です。

また、万が一損失が出てしまったとしても、慌てる必要はありません。早めにポートフォリオを調整することで、状況を好転させるチャンスはまだ残されています。

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