概要:米金融当局者2人が29日、金利据え置き継続の論拠を示した一方、もう1人の当局者はインフレ持続のリスクを考慮して追加利上げの選択肢を残すべきだと指摘した。
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2023年11月30日 7:42 JST
政策は今後のデータを評価する上で「良い位置」-メスター総裁
インフレ持続に備え利上げの選択肢は残すべきだとバーキン総裁
メスター総裁
同総裁はシカゴで開催されたイベントで「金融政策は当局者が経済と金融情勢に関する今後のデータを評価し、インフレ率が適時に2%に戻る軌道を確保するよう調整されているかどうか判断するのに良い位置にある」と述べた。
金利がピークに達したと最も早く示唆した当局者の1人であるアトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレが確実に下降軌道に乗っているとの確信を深めているとの見解を示した。
一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、まだ確信が持てないとし、インフレが根強いと判明した場合に備えて金融当局は追加利上げの選択肢を残すべきだと主張した。ただ、12月の利上げ支持の表明には至らなかった。
同総裁はCNBC主催の会議で、「インフレが自然かつスムーズに下がってくるなら、素晴らしいことだ」と発言。「しかし、インフレが再燃する場合は、金利に関してさらに行動するという選択肢を持っておきたいと思う」と述べた。
3人の連銀総裁はいずれも来年、FOMCの投票権を持つ。トレーダーは米金融当局が来年、利下げに踏み切るとの見方を強めている。米運用会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメント創業者で資産家のビル・アックマン氏は、米金融当局が市場予測よりも早く利下げを始めるとの見方を示し、反響を呼んだ。
大方の予想では12月12、13両日に開催されるFOMC会合では政策金利が22年ぶりの高水準に据え置かれるとみられている。同会合と同時に当局者の最新の金利・経済予測が公表され、来年の金融政策の道筋について新たな洞察が得られる見通しだ。
メスター総裁は12月会合での金利据え置きを支持するとの明言は控えたものの、そのコメントは他のタカ派当局者が今週示した見解と一致する。
連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は28日、インフレ率を当局の目標である2%に戻す上で金融政策は好位置にあると発言。ボウマンFRB理事はインフレ減速が停滞すれば利上げを支持する意向は変わらないとしながらも、12月の利上げを支持するとの表明には至らなかった。
インフレ見通し
ボスティック総裁とバーキン総裁はインフレ見通しに関して異なるポイントを強調した。
ボスティック総裁は29日に公表した論文で、「幾つかの重要な流れに関して、明確性が増しているとの感触を持っている。われわれの調査や企業経営者らの情報に基づくと、インフレの下向き軌道は続く可能性が高いと思われる」と指摘した。
メスター総裁も物価上昇圧力の鈍化を指摘し、「経済全体が比較的堅調に推移している間にも、インフレについては目に見える進展があった」と述べた。
一方、バーキン総裁は自身が慎重になる理由として、住宅とサービス部門に物価上昇圧力が根強く残っていると説明した。同総裁は先週も同様の見解を示していた。