概要:来年を含め少なくとも向こう10年間は、米国株の大幅上昇を期待すべきではない。今年1-6月(上期)の相場上昇を的確に予想した数少ないウォール街ストラテジストの一人、スティーフル・ニコラウスのバリー・バニスター氏がこうした見方を示した。
今年上期の上昇を言い当てた数少ないストラテジストの一人が予想
実質ベースのS&P500種の動きが長期弱気相場の特徴示すと分析
来年を含め少なくとも向こう10年間は、米国株の大幅上昇を期待すべきではない。今年1-6月(上期)の相場上昇を的確に予想した数少ないウォール街ストラテジストの一人、スティーフル・ニコラウスのバリー・バニスター氏がこうした見方を示した。
他の予測担当者が来年の米国株について一段と楽観的になる中でも、バニスター氏はS&P500種株価指数のインフレ調整後のリターンについて、リフレ的な経済成長を背景に2030年代初めまでほぼプラスマイナスゼロになるとの見方を強めている。
消費者物価指数(CPI)に基づくインフレ調整と配当再投資を含めた実質ベースのS&P500種は2021年12月にピークの5300に達した後、それを下回る水準にとどまっており、これは長期的な弱気相場の特徴と合致するとバニスター氏は4日の顧客向けリポートで指摘。
21年までの10年間のようなS&P500種の高い伸びはこの先、一世代の間は見られないだろうと同氏は分析した。
バニスター氏は今年10月の時点で、米金融当局が「正常化された金利での政策調節」に回帰し、金融状況の幅広い引き締まりで企業利益の伸びが阻害されることから、S&P500種は20年代末までほぼ横ばいないし広い値幅内を上下するとの見通しを示していた。利下げについては来年上期の実施はないとみている。
バニスター氏はS&P500種の来年の年央時点の予想値については、「経済成長とインフレ、連邦準備制度の引き締めがいずれも粘り強さを示す」として、従来の4400から4650に上方修正した。それでも今月4日からの上昇率は2%弱にとどまる。
一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ドイツ銀行、RBCキャピタル・マーケッツはS&P500種が来年、過去最高値を更新すると予想している。ブルームバーグ集計データによると、予想平均は4664前後。
JPモルガン・チェースのストラテジストはバニスター氏と同じくS&P500種に懐疑的であり、来年末時点で4200と、大手金融機関で最も弱気な見方を示している。