米国株は2024年に最高値更新、リセション回避へ－ＭＬＩＶ調査

2024年に米国はリセッション（景気後退）入りを回避しＳ＆Ｐ500種株価指数は過去最高値を更新するが、消費低迷を背景に同指数の上昇率は今年の20％を下回る見通しだ。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ（ＭＬＩＶ）」調査が示した。

回答者518人の中央値によると、来年のＳ＆Ｐ500種は2022年１月に付けた終値ベースの最高値4797ポイントを上回り、4808に上昇する見通し。10年物米国債利回りは3.8％と、今年の高水準である５％から低下が見込まれる。

回答者の３分の２余りが、市場にとって最大のリスクは経済のハードランディングではないとの見方を示唆し、過半数は米利下げが来年７月より前に始まると想定している。

US Stocks Are Expected to Outshine Global Peers

We asked: Next year, do you think US stocks will:

Source: Bloomberg MLIV Pulse survey Dec. 4-8 with 518 respondents.

ウィズダムツリーのマクロ経済調査ディレクター、アニーカ・グプタ氏は「米国例外主義はなお健在だ。主な原動力は、中国や欧州より良好な経済情勢や企業利益予想の改善、均等加重したＳ＆Ｐ500種の割安なバリュエーションだ」と指摘した。

誰もが楽観的というわけではない。バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、ここ数カ月の利回り低下は確かに株価上昇を促したが、利回りが来年さらに低下して３％近くになれば、景気鈍化を示唆し、株価の足かせになるだろうとの見方を示した。実際、調査参加者の約33％は、来年の株高に対する最大のリスクは消費の息切れだと答えている。

If the Shopping Spree Fades in 2024, It May Take Stocks With It

We asked: What is the biggest risk to stock markets next year？

Source: Bloomberg MLIV Pulse survey Dec. 4-8 with 518 respondents

またＳ＆Ｐ500種に関する予想中央値は終値としては過去最高値となるが、足元の水準からの上昇率は約４％にすぎない。ブルームバーグのデータによれば、予想される上昇率はＳ＆Ｐ500種が上昇した年の平均19％を大きく下回る水準だ。また、取引時間中の過去最高値4819にも届かない。

欧州のデジタル資産運用会社マネーファームのリチャード・フラックス最高投資責任者（ＣＩＯ）は「利下げの可能性と株式市場との間には若干の緊張がある」とし、「現時点で成長減速と幾分の業績下方修正があるシナリオに傾いており、24年の株式にやや慎重になっている」と分析した。

A Gain of 4% in the S&P 500 Would Be Well Below Average

In a year when the index advances, it rallies an average 19%

Source: Bloomberg, MLIV Pulse survey

ゴールドマン・サックスのストラテジストにとって、理想的なアプローチは株式投資を継続し、ボラティリティーが高い時期に売りたい気持ちを抑えることだ。調査参加者はそうした助言に沿った行動を予定している。26％が今後１カ月に株式保有を増やすと回答。この質問は22年８月に開始したが、その回答の平均を上回っている。

米国は逃避先としての魅力も維持する方向だ。回答者の43％は24年も米国株は海外の株式をアウトパフォームするだろうと答えた。Ｓ＆Ｐ500種は過去10年のうち８年で世界株を上回る上昇を記録しており、これは通常通りだ。

調査では来年最も割安な株式に関する質問に対し、大中華圏以外の新興市場を挙げる回答者が圧倒的に多かった。香港株の指標であるハンセン指数は今年、記録的な４年連続の下落となる方向だが、来年も低迷は続きそうだ。一方、金は約５％の上昇が予想されている。

Stocks, Bonds and Gold Are Expected to Gain Next Year

Source: Bloomberg MLIV Pulse survey Dec. 4-8 with 518 respondents.

ブルームバーグ・ニュースの読者を対象としたＭＬＩＶパルス調査は、ＭＬＩＶブログを運営しているブルームバーグのマーケッツ・ライブ・チームが端末とオンラインで実施している。