概要:米金融当局が市場の利下げ観測を少しでも後退させれば、10月下旬からの一貫した株価上昇が崩れる可能性がある。
2023年12月13日 22:32 JST
フロー、モメンタム、テクニカルレベルなどあらゆる面で伸び悩む
CTAは世界の株式で1060億ドルのロング抱える-ゴールドマン
米金融当局が市場の利下げ観測を少しでも後退させれば、10月下旬からの一貫した株価上昇が崩れる可能性がある。
欧米の株式市場は、フロー、モメンタム、テクニカルレベルなどあらゆる面で伸び悩んでおり、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のメッセージが期待外れだった場合の余裕はほとんどない。
S&P500種株価指数は史上最高値まであと3%に迫り、ユーロ・ストックス50種指数は2001年以来の高値に迫っている。
米国株は10月27日以降、時価総額が4兆6000億ドル(約670兆円)拡大。そこには、市場のモメンタムに乗って取引する商品投資顧問業者(CTA)が、株式のショートからロングに素早く切り替えたことが大きく影響している。この結果、CTAは今後、買うよりも売る可能性が高いとゴールドマン・サックス・グループは分析している。
ゴールドマンのデリバティブとフローの専門家であるカレン・モーガン氏はリポートで「われわれのモデルによれば、この集団が今後1週間、あらゆるシナリオでS&P500種を売るだろう」と書いている。ゴールドマンのスコット・ルーブナー氏は先週、市場には「もはや弱気派が残っていない」と警告していた。
ウォール街から懸念メッセージ、市場に「弱気派が残っていない」
市場がどちらに転ぶにせよ、CTAは来週中にS&P500種先物を売るポジションにあるとゴールドマンは指摘する。
モーガン氏によれば、CTAは世界の株式で1060億ドルのロングポジションを抱えている。
株式相場が上昇した場合、CTAは200億ドルの株式を買い、13億ドルのS&P500種先物を売る必要があり、下落した場合は50億ドルの株式と19億ドルのS&P500種先物を売る必要がある。横ばいの場合、CTAは1800億ドルの世界の株式を買う必要があるが、S&P500種先物は4億3600万ドル相当を売ることになるという。