概要:米連邦準備制度の金融緩和への 「ピボット(方向転換)」に乗じる最善の手段は、利回りが引き続き4%を上回る短めの証券を買い込むことかもしれない。
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2023年12月18日 8:51 JST
イールドカーブはスティープ化でより典型的な上り勾配に戻る見通し
MMFに置かれた6兆ドルの資金が米国債に移行する理由が存在する
米連邦準備制度の金融緩和への 「ピボット(方向転換)」に乗じる最善の手段は、利回りが引き続き4%を上回る短めの証券を買い込むことかもしれない。
インフレが落ち着く中で、今後利下げに転じ、ソフトランディング(軟着陸)の下支えに動けるよう連邦準備制度は準備しつつある。一方、マネーマーケット・ミューチュアル・ファンド(MMF)のような現金に近い投資商品の金利は、近く大きく下げる可能性が懸念され、MMFに置かれている6兆ドル(約852兆円)近い資金が米国債に移行する新たな理由が存在する。
それに加えて、ほぼ不可避と考えられていたリセッション(景気後退)が避けられるかもしれないという強い確信が生じ、イールドカーブのスティープ化に伴い、より典型的な上り勾配に戻ることを予想する投資家は、長めの証券への意欲を欠く。
ウォール街のコンセンサスは明確だ。米国の2年国債は、他のどの年限より高い4.4%前後の魅力的利回りを提供するイールドカーブのスイートスポットだ。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、リンジー・ロスナー氏は「連邦準備制度は2024、25年について金利が低下するとの見通しを示した」と指摘し、投資家は「2年と5年の混合」を狙うべきだと見解を明らかにした。
追加されたリスクに見合う代償をトレーダーが要求する長期債は、アンダーパフォームが見込まれる。持続的な米財政赤字を賄うための国債の大量発行継続と、来年インフレが再燃する可能性を巡るテールリスクもトレーダーの懸念材料だ。
イールドカーブを見れば、2年国債が魅力的な理由が簡単に理解できる。1年半余り前に逆イールド(長短金利差逆転)が最初に発生し、長期金利が年限のより短い債券利回りを下回った。
投資家の間では、イールドカーブが来年のある時点でより通常のパターンに戻るという確信が高まっている。10年国債利回りは2年国債利回りを現時点で約50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回るが、今年7月の段階では、100bpを超える開きがあった。
米投資会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者で、債券王と呼ばれたビル・グロース氏、資産家のビル・アックマン氏など名だたる投資家が、逆イールドの反転を予測する。
ガンドラック氏は米10年国債利回りが来年3%台前半に向け低下すると予想し、24年末までにイールドカーブにプラスの傾きが表れることもあり得るとグロース氏とアックマン氏は考えている。