概要:英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長のモハメド・エラリアン氏は直近の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に見られた債券急騰について、FOMCがコミュニケーションで問題を抱えていることを示す重大な証左であるとの見解を示した。
2023年12月20日 3:33 JST
金融政策当局者がけん制も、市場は来年は6回程度の利下げ織り込む
FOMC発表後、米債利回りは急低下-市場は政策転換近いと解釈
英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長のモハメド・エラリアン氏は直近の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に見られた債券急騰について、FOMCがコミュニケーションで問題を抱えていることを示す重大な証左であるとの見解を示した。
ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるエラリアン氏は、政策金利を据え置いたFOMCが来年は従来予想されていた以上のペースで利下げを実施する見通しを示してから約1週間が過ぎたが、政策の道筋に対するトレーダーと米当局者の見方は依然として開きがあると指摘した。
同氏は19日、ブルームバーグテレビジョンに対し、「米金融政策当局によるコミュニケーションの要点は2つ。1つ目は透明性で、2つ目は政策ガイダンスの効力を強化することだ」と述べ、「それなのにFOMCのコミュニケーションは人々を困惑させている。これはかなり問題だと考える」と続けた。
ブルームバーグテレビジョンに語るエラリアン氏
Source: Bloomberg
FOMCが13日発表した政策判断について、投資家は政策転換が差し迫っていることが最も明確に示唆されたと受け止め、米国債利回りは急低下した。
複数の当局者が市場の見方は過度にハト派的だとけん制しているが、スワップ市場はFOMCが来年に0.25ポイント利下げを6回近く実施すると織り込んでいる。
エラリアン氏はこうした行き違いはFOMCの失敗であり、金融政策当局ではなく市場が指示を出す展開になっているとみる。
同氏はトレーダーが今月のFOMC会合後にハト派的なポジションを積み上げ、債券相場を押し上げている影響は広範囲に及ぶと指摘、それが当局によるインフレ退治の「ラスト1マイル」を妨げるだろうと述べた。