概要:記録的な運用資産急増。2000万を超える新規投資口座増加。資金運用で世界最大手、米ブラックロックの再参入。
23年は転換点、質的な大きなシフトが起きた-バリュー・リサーチ
人口14億人超のインド、投信の投資家は約4000万人しかいない
記録的な運用資産急増。2000万を超える新規投資口座増加。資金運用で世界最大手、米ブラックロックの再参入。
これらは、インドの投資信託業界にとって大成功の年となろうとしている2023年に起きた画期的な出来事だ。経済的利益への飽くなき渇望を原動力に、スマートフォンで武装した何百万人もの若いインド人が、人口世界一のこの国で株式投資に乗り出している。
モーニングスターのデータによれば、1-11月のファンド資産は19%増加し、米国や日本、中国など主要国を上回る勢いとなった。
ブラックロック、インドの資産運用事業に復帰-リライアンスと合弁
インド株は8年連続上昇の勢い、中国と対照的-アダニ銘柄の軟調続く
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う個人投資ブームという予期せぬ恩恵もあり、4兆1000億ドル(約580兆円)規模のインド株式市場は成長を続けている。
Indian Funds\' Assets Grew Faster Than Peers in 2023
インド株の指標S&P・BSEセンセックス指数は今年、8年連続で上昇と、年間ベースで最長の値上がりとなる方向。業界のベテランたちは、家計の金融資産に占める投信の割合が今後ますます大きくなるとみている。
3月時点で銀行預金の約45%に対し、投信のシェアは9%に届かなかった。
14億人中4000万人
ニューデリーを本拠とする独立系投資調査会社バリュー・リサーチのディレンドラ・クマール氏は、「今年は転換点であり、質的な大きなシフトが起きた。投信を持っていない人は機会を逸していると感じるという意味で、投資の民主化が進んでいる」と述べた。同社は30年にわたり投信の投資家にアドバイスを提供している。
株式ファンドが資産増加のけん引役だ。インドでは金融リテラシー向上と所得改善により、不動産や金などの現物資産、それに銀行預金から株式投資への移行がすでに進行していたが、パンデミックによる活動抑制と雇用の喪失により、何百万人もの人々が家にいてもほとんどすることがなくなり、このシフトに拍車がかかった。
株式市場の好調なリターンも、新たな投資家の呼び込みに寄与。その結果、インド株のファンドには11月まで2年9カ月連続で資金が流入した。
インド証券取引委員会(SBEI)のアマルジート・シン委員はムンバイで11月に開催された会議で、インドのファンドが運用する資金は国内経済規模の約16%相当で、その割合はここ10年で倍になったと語った。
だが、人口が14億人を超えるインドで、投信の投資家は約4000万人しかいないと同氏は指摘。成長の余地があると強調した。