概要:米金融当局はバランスシート圧縮からどのように手を引くか、検討に入る適切な時期を見極めようとしている。これまでの予想より終了が近い可能性を示すものだ。
米金融当局はバランスシート圧縮からどのように手を引くか、検討に入る適切な時期を見極めようとしている。これまでの予想より終了が近い可能性を示すものだ。
先月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨を見ると、量的引き締め(QT)として知られるランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペース減速の時期を決定する技術的要因に関し協議開始が適切であろうと複数の参加者が示唆した。準備預金残高が「潤沢な準備預金と合致すると判断される水準を幾分上回る」段階でバランスシートの圧縮ペースを減速させ、その後、圧縮を停止することが同委の計画で示唆されていると、複数の参加者は指摘した。
金融システムにとって重要な翌日物レポ市場などに混乱を引き起こすことなく、どの程度の引き締めが可能かを巡り米当局は判断を誤っているのではないかと、ここ数カ月に盛んに議論されてきた。
準備預金残高は現在3兆4800億ドル(約499兆円)で、2022年のバランスシート圧縮開始時の水準を大きく上回っているが、当局が考えているほど潤沢ではないとの懸念がある。当局者は19年、翌日物市場金利が一時10%と5倍に上昇し、介入を余儀なくされた際に教訓を得た。
RBCキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、ブレーク・ グウィン氏は「誰でも打撃を受けるまでは計画を維持するものだ」とし、「前回、当局は19年9月のレポ市場混乱で『打撃』を受け、直ちに方向転換した」と語った。同氏は24年半ばのQT段階的終了を見込む。
当局は1年半余りにわたって、毎月最大で米国債600億ドル相当と政府機関債350億ドル相当のランオフを進めている。