概要:韓国の泰栄(テヨン)建設が抱える債務問題は信用収縮の再燃につながるリスクがあるとして、同国はこの問題の影響を抑制しようと、再びダメージコントロール・モードに入っている。
市場安定対策や監督当局の「あらゆる取り組み」表明も不安高まる
積極的な金融引き締めの副作用、韓国など各国で住宅市場が低迷
韓国の泰栄(テヨン)建設が抱える債務問題は信用収縮の再燃につながるリスクがあるとして、同国はこの問題の影響を抑制しようと、再びダメージコントロール・モードに入っている。
泰栄は先月下旬、プロジェクトファイナンス・ローンの返済繰り延べ(リスケジュール)を要請し、市場に衝撃を与えた。この手の債務はこれまでにも2回、市場を揺るがす原因となった。そのうちの1回は2022年にテーマパーク「レゴランド・コリア」のデベロッパーが債務不履行(デフォルト)に陥ったことが引き金となり、韓国の信用市場では世界金融危機以降、最悪のメルトダウンとなった。
泰栄のプロジェクトには野球場や遊園地、ソウル市内のビルなどが含まれている。同社の要請は銀行やデベロッパーの株価下落を引き起こした。ブルームバーグがまとめたデータによれば、泰栄の24年7月償還ウォン建て社債は額面の約62%まで値下がり。12月26日時点では同97%だった。
韓国当局者は必要に応じて市場安定のために660億ドル(約9兆6000億円)規模のプログラムを立ち上げると約束し、同国の担当相も影響の拡大を食い止めるために監督当局が「あらゆる取り組みを行う」と表明したが投資家の不安を拭い切れていない。
泰栄の債権者は5日、同社の再建要求に関する協議の後で失望を表明し、同社がかけたレバレッジは過大だとの見方を示した。
主要中央銀行による積極的な金融引き締めは副作用をもたらし、韓国など各国の住宅市場はさらに低迷している。泰栄が抱える債務問題はその副作用の新たな例だ。
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