概要:2023年はヘッジファンド運営会社の顧客にとって最高の年の一つとなった。
TCIの23年利益129億ドル、シタデル81億ドル-業界全体2180億ドル
上位20社の23年利益は計670億ドル-LCHインベストメンツ
2023年はヘッジファンド運営会社の顧客にとって最高の年の一つとなった。
ファンド・オブ・ヘッジファンズであるLCHインベストメンツの推計によると、ヘッジファンド業界全体の手数料後の利益は計2180億ドル(約32兆2500億円)。クリス・ホーン氏率いるTCIファンド・マネジメントが129億ドルで首位、ケン・グリフィン氏率いるシタデルが81億ドルで2位となった。
LCHの年次調査は、設立以来絶対的な金額ベースで全体的に大きな利益を上げている運用会社を主な対象としている。その結果、大規模で歴史が古いヘッジファンド運営会社が一般的に上位を占める傾向がある。上位20社の運用資産が業界全体に占める割合は5分の1未満だったが、利益は計670億ドルと、約3分の1を占めた。
より伝統的なリターン評価方法で測定すると、上位20社の23年のリターンはプラス10.5%と、平均的なヘッジファンドのプラス6.4%を上回った。トップ20社が過去3年間に全ヘッジファンド運営会社の絶対的な利益に占める割合は83%だった。
LCHのリック・ソファー会長は発表資料で「ほとんどの場合、これは不利な状況で損失を抑え、23年末ごろのような有利な状況で利益を上げる能力を反映している」と分析。「これらの運用会社は数十年にわたり平均を上回る成績を収めており、優れたリターンが持続していることを示している」と説明した。
シタデル、ミレニアム・マネジメント、DEショーは、設立以来の利益ランキングで上位3社となった。これら3社は過去3年間だけで712億ドルの利益を上げているが、これは全ヘッジファンドの利益合計の38.3%に相当する。LCHの推計によれば、3社の運用資産が業界全体に占める割合は昨年末時点で4.6%だった。
2023年ヘッジファンド運営トップ20社
運用会社 | 資産 | 設立以来の正味利益 | 2023年の利益 | 設立年 |
---|---|---|---|---|
TCI | $50B | $41.3B | $12.9B | 2004 |
Citadel | 56.8 | 74 | 8.1 | 1990 |
Viking | 30.5 | 40.9 | 6 | 1999 |
Millennium | 61.9 | 56.1 | 5.7 | 1989 |
Elliott | 62.2 | 47.6 | 5.5 | 1977 |
DE Shaw | 43.8 | 56.1 | 4.2 | 1988 |
Lone Pine | 15.9 | 35.6 | 4.2 | 1996 |
Baupost | 27.4 | 37 | 3.8 | 1983 |
Pershing Square | 17.9 | 18.8 | 3.5 | 2004 |
SAC/Point72 | 31 | 33 | 3 | 1992 |
Appaloosa | 17 | 35 | 2.7 | 1993 |
Farallon | 40.4 | 35.7 | 2.6 | 1987 |
Och Ziff/Sculptor | 28.7 | 32.2 | 2.3 | 1994 |
Egerton | 14 | 23.9 | 2.3 | 1995 |
Davidson Kempner | 37 | 21 | 1.8 | 1983 |
King Street | 9.5 | 19.5 | 0.9 | 1995 |
Brevan Howard | 35.6 | 28.5 | 0.4 | 2003 |
Caxton | 13.4 | 19.5 | -0.3 | 1983 |
Bridgewater | 72.5 | 55.8 | -2.6 | 1975 |
Soros* | NA | 43.9 | NA | 1973 |
Total | 665.5 | 755.4 | 67 |
備考:単位は10億ドル。 *全ての外部資金返還に伴い集計凍結(出典:LCHインベストメンツ)