概要:23日の米株式市場ではS&P500種株価指数が続伸。終値での最高値を連日で更新した。
ネットフリックスは引け後に上昇、会員数の伸びが予想上回る
円は対ドルで下落、一時1ドル=148円70銭-米10年債利回り上昇
23日の米株式市場ではS&P500種株価指数が続伸。終値での最高値を連日で更新した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4864.60 | 14.17 | 0.29% |
ダウ工業株30種平均 | 37905.45 | -96.36 | -0.25% |
ナスダック総合指数 | 15425.94 | 65.65 | 0.43% |
大型ハイテク銘柄中心のナスダック100指数も前日に続いて最高値で終了した。ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ベライゾン・コミュニケーションズは決算が好感され上昇。一方、期待外れな業績見通しを示した3Mとジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は値下がりした。
ネットフリックスは通常取引終了後の時間外取引で一時7%超の上昇。ストリーミング有料会員の純増幅が市場予想を上回った。市場はニューハンプシャー州で行われる大統領選の共和党予備選の結果も待っている。
株式相場は米金融当局者らによる利下げ観測けん制発言の影響をこれまでおおむね回避してきた。むしろ、数十年ぶりの積極的な金融引き締めサイクルを経ても景気が底堅いことに支えられている。
しかしウォール街の一角では、3月利下げの観測が抑制される中で上昇が続くのか疑問視され始めている。
ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同最高投資ストラテジスト、エミリー・ローランド氏は「現時点で興奮は冷めたようであり、政策転換への期待で盛り上がった後、誰もが少し冷静になっている」と指摘。「マルチプル(投資尺度)の拡大はやや手詰まりになり始めている」と述べた。
ドイツ銀行のストラテジスト、ヘンリー・アレン氏は「市場では過去数週間に著しく楽観的な見方が広がっていた」と指摘。「しかし、これは持続可能だろうか。金融状況が今のように緩和的になると、長続きしない傾向がある」と述べた。さらに「データは目を見張るほど底堅い状況が続いているが、投資家は再三の上振れサプライズにいずれ慣れていくというのも確かだ」と話した。
外為
外国為替市場では、米国債利回りの上昇に伴いドルが上昇。日本銀行の政策決定を受けて、日銀による年内の金融引き締め観測が強まり、世界的に債券が軟調となったことが背景にある。
円は対ドルで東京時間に上昇していたが、ニューヨーク時間に入って下げに転じ、一時0.4%安の1ドル=148円70銭を付けた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1238.88 | 2.09 | 0.17% |
ドル/円 | ¥148.38 | ¥0.28 | 0.19% |
ユーロ/ドル | $1.0853 | -$0.0030 | -0.28% |
米東部時間 | 16時56分 |
ウニクレディトのマクロストラテジストは「日本のフォワードカーブは日銀の政策金利が7月からゼロに戻り、年末までにはゼロを上回るとなお織り込んでいる。これが1ドル=150円台への持続的なドル上昇を引き続き妨げている」とリポートで指摘した。
日本銀行の植田和男総裁は23日の金融政策決定会合後の記者会見で、賃金と物価の好循環が強まり、基調的な物価上昇率が2%目標に向けて徐々に高まっていく確度は「少しずつ高まっている」との認識を示した。エコノミストの間では日銀が今年前半のある時点でマイナス金利の解除に踏み切ると有力視されており、総裁の発言はこうした見方を後押しする。
日銀総裁、物価目標実現の確度「少しずつ高まっている」-緩和維持 (2)
25日には欧州中央銀行(ECB)が政策会合を開く。緩和政策の開始を示唆するかどうかに注目が集まる。同日には昨年10-12月(第4四半期)の米国内総生産(GDP)、26日には12月の米個人消費支出(PCE)価格指数がそれぞれ公表される。
米国債
米10年債利回りは上昇。一方、金融政策に敏感な2年債利回りは小幅低下した。この日実施された2年債入札は順調な結果となった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.36% | 4.4 | 1.02% |
米10年債利回り | 4.13% | 2.5 | 0.61% |
米2年債利回り | 4.37% | -2.3 | -0.53% |
米東部時間 | 16時56分 |
BMOキャピタル・マーケッツのベイル・ハートマン氏は「2年債利回りが先週付けた年初来の低水準から反転したことで、押し目買いの動きが強まるはずだ」とリポートで指摘した。
原油
ニューヨーク原油相場は反落。中東で軍事活動がエスカレートしている半面、市場では供給増加見通しが意識された。
米英は22日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する空爆を強化した。紅海での商船攻撃を抑止するのが狙い。こうした地政学的な緊張激化にもかかわらず、原油相場は2ドル弱の狭いレンジで浮動し、1バレル当たり74ドル付近に下げた。
TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏は「レンジ取引はトレンドフォロワーを無力化する。狭い値幅はアルゴリズムを高値買いと安値売りに導き、価格がほとんど動かない原因になっている」と説明した。
それでも需給のバロメーターである原油先物のプロンプトスプレッド(当限月と来限月の価格差)は、紅海でのリスク上昇に押し上げられている。ブレント原油の期近物は期先物に44セントの上乗せで取引されており、この幅は限月最終取引を除いて昨年11月以来の大きさに開いた。
上段:ブレント先物、下段:ブレント原油のプロンプトスプレッド
出所:ICE
中東の紛争と石油輸出国機構(OPEC)による減産方針にもかかわらず、今年の原油相場は方向性が不明瞭になっている。OPEC非加盟国での生産が増え、国際エネルギー機関(IEA)は潤沢な供給を予想した。リビアでは一時停止していた大型油田からの供給が再開された。米国でも寒波による掘削業者の操業停止が回復に向かっている。
ロシア産原油の海上輸送はほぼ2カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。一部港湾で悪天候が続いているほか、ウクライナによる無人機攻撃でバルト海の主要ターミナルからの積み出しが一時停止した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比39セント(0.5%)安い1バレル=74.37ドルで終了。北海ブレント3月限は51セント(0.6%)下げて79.55ドル。
金
金は小反発。市場は米金融緩和見通しのヒントを得ようと経済データを待っている。
今月の金相場は比較的狭いレンジで取引されてきた。3月にも利下げが始まるのかどうかに市場の注目が集まっている。今週は米国内総生産(GDP)のほか、基調的なインフレの判断材料として連邦準備制度理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)コア価格指数も発表される。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は将来の米利下げについて、市場が明確性を求めているのは「タイミングとペース、深さ」の3つだと指摘する。個人消費支出(PCE)のコア指数が「3月利下げの可能性が復活したかどうかを見極める上で鍵を握る」と述べた。
金利スワップ市場が織り込む3月利下げの確率は約40%。1週間前の70%弱から低下した。借入金利と米国債利回りの上昇は通常、利息を生まない金投資にはマイナスに働く。
金スポット価格はニューヨーク時間午後1時36分現在、前日比4.05ドル(0.2%)上昇し1オンス=2025.75ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は3.60ドル(0.2%)高い2045.20ドルで終了した。