概要:2024年の販売台数の伸びが鈍化するとの見通しを示した米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株価が25日に急落。時価総額では800億ドル(約11兆8000億円)が吹き飛び、肥満症治療薬が人気の米イーライリリーに抜かれた。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「市場は大きくて幅広いトレンドを好む傾向があり、確かに一時期はEV、とりわけテスラはこうしたトレンドの一つだった」とした上で、「今、投資家の心をつかんでいるトレンドは人工知能(AI)とGLP-1受容体作動薬だ」と指摘した。
かつてS&P500種構成銘柄で時価総額5位だったテスラはリリーやブロードコムに抜かれ、トップ10をやっとのことで維持している。25日通常取引終了時点で時価総額はテスラが約5800億ドル、リリーはは5950億ドル強。
リリーの株価上昇の主な要因は、糖尿病・肥満症を治療するGLP-1受容体作動薬の新薬候補と開発中のアルツハイマー病治療薬だ。リリーの株価は昨年59%上げた後、今年に入ってさらに7.7%上昇。マンジャロとゼップバウンドの売り上げが株価をさらに押し上げると予想されている。
一方、ゴールドマン・サックス・グループのアナリスト、マーク・ディレーニー氏はテスラ株について、納車台数と利益の双方での伸び鈍化が株価を圧迫する見通しだと分析した。同社の株価は1月に25%強下落と、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるテクノロジー大手7社中唯一マイナスとなっている。