概要:米クレジットカード会社アメリカン・エキスプレス(アメックス)は、長期の収益目標を据え置いた。また同社が示した2024年通期の利益見通しはアナリスト予想を上回った。
2024年1月26日 22:00 JST
決算を受け、市場ではアメックスの収入の伸びに対する懸念が後退
10-12月期はアルゼンチンの通貨切り下げも影響-アメックス
米クレジットカード会社アメリカン・エキスプレス(アメックス)は、長期の収益目標を据え置いた。また同社が示した2024年通期の利益見通しはアナリスト予想を上回った。
アメックスによる決算発表後、同社の株価は米株式市場の時間外取引で一時3.1%上昇。アメックスの2023年通期は収入が14%、純利益は11%それぞれ増えた。10-12月(第4四半期)についてはアナリスト予想を下回ったが、同社はアルゼンチンの通貨切り下げも一部影響したと説明した。
クリストフ・ルケイレク最高財務責任者(CFO)はインタビューで、「アルゼンチンは一夜にして激しく通貨を切り下げた」と指摘。通貨切り下げがなければ、1株当たり利益はコンセンサスを上回っていただろうと述べた。
アルゼンチン、通貨ペソ54%切り下げ-経済危機に「ショック療法」 (3)
26日の発表資料によれば、同社は年間収入の伸び率について10%超をなお目指している。24年については9-11%となる可能性があると説明した。市場では、アメックスが富裕層の顧客を獲得し、長期目標を達成するために必要な支出を継続できるか疑問視する向きもある。同社は24年通期の1株利益について、少なくとも12.65-13.15ドルに増加するとの見通しを示した。
アメックス予想2024通期実績:スナップショット (1)
10-12月期の収入は前年同期比11%増の158億ドル(約2兆3300億円)。市場予想は159億9000万ドルだった。収入増加についてアメックスは、純金利収入の伸びと顧客のカード利用額増加が寄与したと説明した。
純利益は23%増の19億3000万ドル(1株当たり2.62ドル)。1株利益は、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均に3セント届かなかった。貸倒引当金は40%増の14億4000万ドル。
スティーブ・スクエリCEO
スティーブ・スクエリ最高経営責任者(CEO)は発表文で、「こうした好業績は、顧客基盤の強さと当社のビジネスモデルにおける収益力の高さを実証している」とし、「これまでの成長により、収入を押し上げ事業規模を大幅に拡大するための投資を継続する一方で、費用を効率的に管理できるようになっている」と説明した。