概要:ドル円は28日午前の東京市場で159円台半ばに上昇した。イラン情勢を巡る不透明感による有事のドル買いと月末のドル需要が支えとなる一方、160円接近で政府・日銀の為替介入への警戒感が上値を抑えている。

ドル円は28日午前の東京外国為替市場で159円台半ばに上昇した。米国とイランの協議を巡る報道で原油と円が振れた後、米国側の否定を受けて有事のドル買いが優勢となった。160円に近づく水準では、政府・日銀による為替介入への警戒感が市場の上値追いを抑えている。
28日朝の東京市場では、午前9時時点でドル円が159円56から58銭となり、前日午後5時の159円35から36銭から21銭のドル高・円安となった。前日の海外市場では、欧州時間序盤に159円30銭台から159円45銭前後へ上げ、米国時間序盤に159円20銭台へ急落する場面を経た後、一時159円50銭台まで戻した。イラン情勢を巡る不透明感が残る中で有事のドル買いが優勢となり、インフレ懸念を背景に米利上げ観測も意識されている。
27日のニューヨーク市場では、午後5時時点で円相場が1ドル159円46から56銭と、前日同時刻から21銭の円安・ドル高となった。円は一時159円57銭まで下げ、4月末以来およそ1カ月ぶりの安値水準を付けた。月末が近づくなかでドル需要が強まったとの見方もあり、協議進展を巡る一時的な円買いは続かなかった。
27日朝のニューヨーク市場では、イラン国営メディアが米国との戦闘終結に向けた覚書草案を入手したと報じ、ホルムズ海峡の商業航行が紛争前の水準へ戻るとの見方から、米原油先物は一時1バレル88ドル台へ下落した。この局面ではエネルギー供給混乱への懸念が和らぎ、ドルに手じまい売りが出て円は20銭程度強含んだ。だが、ホワイトハウスが27日午前にこの草案を事実ではなく完全なねつ造だと否定し、ドル円は反転して上値を試す流れとなった。
28日午前9時の東京市場では、ユーロ円が185円36から39銭と、前日午後5時の185円49から50銭から小幅に下げた。ユーロドルは1.1617ドル前後と、前日午後5時の1.1640ドル前後から下落した。27日のニューヨーク午後5時時点ではユーロ円が185円44から54銭と前日比で円安・ユーロ高となっており、ドル主導の相場展開の中でユーロは対円と対ドルで方向感が分かれた。
足元の為替市場では、地政学リスクを背景にしたドル資金への需要、月末に絡むドル需要、原油価格を通じたインフレ懸念が重なっている。イラン情勢を巡る報道は原油先物を動かし、原油の下落は一時的に円買いを誘った。一方で、米国側の否定により協議の不透明感が残り、ドル買いが再び優勢になった。
ドル円が160円に迫る水準にあることで、為替介入への警戒感が市場参加者の行動を制約している。ドルの強さは地政学リスクと金利観測に支えられているが、円安が進む局面では当局の発言や行動が相場の重要な材料になっている。現在の市場は、ドル買いの地合いと介入警戒が同時に存在する神経質な状態にある。