概要:中国は資金繰り難の不動産開発会社を支援しようと、銀行への圧力を強めている。不動産セクター危機に対する習近平国家主席の忍耐が限界に近づいていることを示している。
2023年11月24日 14:59 JST
24日の香港市場では、銀行株が下落-H株指数も値下がり
新たな支援策、不動産業界の資金不足緩和が狙い-関係者
碧桂園が開発した建設途中の住宅(8月、広東省仏山)
中泰金融国際の株式調査責任者メイ・チャオ氏は「不動産セクターを支援する新たな措置はデフォルト(債務不履行)の悪循環を断ち切り、システミックリスクの増大を回避するための強力な手段となりそうだ」と述べる。
デベロッパー支援を強化する新しい取り組みは、頭金引き下げなど住宅ローン条件の緩和を通じ主に住宅需要を喚起することを目的としたここ1年ほどに打ち出された対策に加わる。住宅販売は過去1年10カ月のうち1年6カ月で減っており、これまでの施策は効果に乏しい。
24日の香港株式市場では、銀行株が下落。中国工商銀行と中国建設銀行は1%余り下げている。中国不動産株の指数は今週の上昇率を約14%に縮小。香港上場の中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は一時1.8%安と、楽観的な見方が薄れているもようだ。
中国政府は現在、国内最大級の銀行に照準を定め、与信を増やし、民間デベロッパーへの融資の伸びを業界平均に合わせるよう促している。
楽観シナリオは、碧桂園のような企業が資金支援を活用し、住宅を完成させ、メディアをにぎわすようなデフォルトを避けることができれば、買い手は信頼を取り戻し、販売が回復するというものだ。不動産セクターが安定すれば、銀行も損失を回避できるだろう。
GAMインベストメント・マネジメントのファンドマネージャー、ジエン・シー・コルテシ氏は「短期的な流動性の問題が解決されれば、デベロッパーは景気悪化を乗り切ることができる」と分析する。
ただ、JPモルガン・セキュリティーズのアナリストらによれば、中国が適格とするデベロッパーに無担保ローン提供を容認するいかなる措置も、銀行にとって「危険な動き」になりかねない。
アナリストらは「中期的に国家サービスのリスク、および信用リスクを巡る懸念を引き起こし、金融機関にとってマイナスになるのではないか。信用リスク不安を理由に銀行がその種のガイダンスを迂回(うかい)する恐れもあり、実行は困難を伴うだろう」と指摘している。