概要:ブラックストーンとペルミラ・ホールディングスによる欧州のオンライン広告会社アデビンタ買収計画を支援する融資45億ユーロ(約7300億円)は、単にダイレクトレンディング(直接融資)案件として過去最大となっただけはない。
コンテンツにスキップする
2023年11月27日 10:54 JST
アデビンタ関連プライベートローンにCPPIBなどが参加-関係者
直接融資を目指すLPが増加、案件の確保で競争激化
ブラックストーンとペルミラ・ホールディングスによる欧州のオンライン広告会社アデビンタ買収計画を支援する融資45億ユーロ(約7300億円)は、単にダイレクトレンディング(直接融資)案件として過去最大となっただけはない。
年金基金や政府系ファンドは1兆6000億ドル規模のプライベートクレジット市場に投資する際、仲介者を排除したいと考えるようになっていることを背景に、大口投資家が借り手に融資の一部を直接提供する新しいトレンドも浮き彫りになった。
こうしたトレンドは結果として、プライベートクレジットファンドの運用業者を圧迫するリスクがあるほか、企業の合併・買収(M&A)が再び活発化しても、投資銀行が収益性の高いM&Aファイナンスのビジネスを取り戻すことを難しくすることになる。
公に話す権限がないとして匿名を条件に述べた関係者によれば、アデビンタ関連のプライベートローンで最大の貸し手はカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)。シンガポールの政府系ファンド、GICが3位だ。
GICとCPPIB、ブラックストーン、ペルミラはコメントを控えた。
CPPIBとGICは一般的にリミテッドパートナー (LP) として活動し、プライベートキャピタルマネジャー(ジェネラルパートナー)に投資資金を提供する。
キャンベルルティエンスのグローバルプライベートクレジット共同責任者ジェフリー・グリフィス氏は「投資家がより洗練され、自分たちが負っているリスクを理解するようになると、ファンドを通じて投資するよりも自己勘定で投資できるようになる」と語った。
事情を知る関係者は、CPPIBとGICがファンドマネジャーと共にプライベートクレジット案件に投資するのは初めてではなく、以前にもブラックストーンと共に投資したことがあると説明した。ただ、アデビンタの融資案件はユニークな一歩であり、今後同じような取引が増える可能性を示唆している。
助言会社イーリー・プレイス・パートナーズの創業者ダニエル・ロディック氏は、「共同投資プログラムは一部のLPにとって極めて重要なツールだ」と指摘。手数料などを伴わないことが多いため、全体の費用を抑えられるという。
LPによる直接融資は、数少ないM&A案件を巡って既に激しく競合している各プライベートクレジットファンドにとって競争がさらに厳しくなることを意味する。