概要:大口であれ小口であれ事情通の投資家が株式を買い進めているのは、11月の米株高がまだ続く余地があるとの新たな自信の表れだ。
2023年11月29日 9:29 JST
米株式市場の時価総額が5兆ドル増加した中で信任投票との受け止め
インフレ鈍化で利上げは終了、ミッション達成という強気論
大口であれ小口であれ事情通の投資家が株式を買い進めているのは、11月の米株高がまだ続く余地があるとの新たな自信の表れだ。
米株式市場の時価総額が5兆ドル(約740兆円)増加したこの1カ月に、ゴールドマン・サックス・グループでは法人客の自社株買い戻しの動きが「大いに活発化」した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の自社株買い担当デスクも同様で、同社のこれまでのデータで最も執行注文が活発な週となった。
企業幹部らも買いモードだ。調査会社ワシントン・サービスがまとめたデータによれば、企業の経営者や役員が11月に自社株買いを進めており、買い手と売り手の比率は6カ月ぶりの高水準に達している。
こうした活発な自社株買いの背景には、米連邦準備制度がインフレ鈍化を受けて利上げを停止するとの見方から株式相場が今年最悪の下げ局面から回復していることがある。2024年のリセッション(景気後退)入りの恐れを指摘する懐疑派もいるものの、企業インサイダーはここ数年、相場のタイミングをうまく見計らった実績がある。
FBBキャピタル・パートナーズの調査ディレクター、マイク・ベイリー氏は「インフレが鈍化し利上げは終了、ミッションは達成されたという強気論に基づいたインサイダーの購入が見られる」と述べ、企業や幹部個人の自社株買い戻しは、二重の楽観的な兆候だと指摘した。