概要:米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は28日、インフレ率を目標に戻すため、追加的な金融引き締めを支持するとの見通しを示した。
最近のインフレに関する進展は一様ではないと指摘
長期的に金利はコロナ前よりも高い水準に維持する必要も-理事
米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は28日、インフレ率を目標に戻すため、追加的な金融引き締めを支持するとの見通しを示した。
理事はユタ州ソルトレークシティーで行われた講演で「私の基本的な経済見通しでは、インフレ率を2%の目標まで時宜を得て低下させる上で、十分に景気抑制的な政策を維持するにはフェデラルファンド(FF)金利のさらなる引き上げが必要だと引き続き想定している」と指摘。「しかし、金融政策はあらかじめ決まった軌道にはなく、経済見通しと適切な金融政策の道筋への影響を見極めるため、今後発表されるデータを注視していく」と述べた。
理事はまた「インフレの進展が停滞している、あるいはインフレ率を時宜を得て2%の目標まで低下させるのに不十分であることがデータで示されれば、将来の会合でFF金利の引き上げを支持する立場に変わりはない」と述べた。
米金融当内では、必要であれば追加利上げもあり得るが、当面は金利を据え置くとの考えでまとまりつつあり、ボウマン理事とのスタンスの相違が顕著になっている。
ボウマン理事は足元のインフレに関する進展にはばらつきがあり、今後も進展が継続するかは不透明だとの慎重な見方を示した。過去1年のインフレ改善の多くは、労働参加率の上昇やエネルギー価格の低下といった供給サイドからもたらされたものであり、今後もインフレ率を低下させるかどうかは見通せないと述べた。
さらに「貯蓄と比較した投資への需要拡大など、潜在的な経済の構造変化を踏まえると、低水準で安定したインフレと整合的なFF金利の水準が、コロナ禍前の水準を上回る可能性は十分にある」と発言。長期的にはコロナ流行前よりも高い水準に金利を維持する必要があるかもしれないとの考えを示した。