概要:米S&P500種株価指数が来年に過去最高値を更新するとの予想が、ウォール街のストラテジストの間に広がる状況にあって、JPモルガン・チェースは目標株価についてこれまでのところ最も悲観的な予測を示し、他の大手金融機関とは一線を画している。
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2023年11月30日 9:15 JST
ブルームバーグがカバーするウォール街の平均は現在4664前後
JPモルガンは消費トレンド軟化や地政学的リスクの影響指摘
米S&P500種株価指数が来年に過去最高値を更新するとの予想が、ウォール街のストラテジストの間に広がる状況にあって、JPモルガン・チェースは目標株価についてこれまでのところ最も悲観的な予測を示し、他の大手金融機関とは一線を画している。
ドゥブラフコ・ラコスブハス、マルコ・コラノビッチ両氏らは29日の顧客向けリポートで、S&P500種が2024年末までに4200と、現行水準から8%程度下落する方向にあると予想。世界的な成長減速や家計の貯蓄減少が見込まれるほか、米大統領選をはじめとする各国の選挙が予定され、政策面の不確実性が高まるなど地政学的リスクにも言及した。
JPモルガンのストラテジストらは米株価について、23年に向けても同様の悲観的な展望を示していた。ただ今年の場合、米経済の底堅い推移を背景に、年間ベースで2桁の株高の方向にある。
ラコスブハス氏らはリポートで、「投資家のポジションやセンチメントがおおむね反転した状況で個人消費のトレンドが軟化することで、米金融当局が早急に緩和に踏み切らない限り、来年の株価を巡るマクロ的背景は一層厳しくなると予想される」と指摘した。
一方、来年のS&P500種について、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のサビタ・スブラマニアン氏やドイツ銀行のビンキー・チャダ氏らは5000以上に達すると予想し、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏は少なくとも過去の最高値に迫るとみている。
さらに、弱気姿勢を堅持してきたモルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏も株価見通しに従来よりは前向きとなり、24年末時点のS&P500種を4500と予想する。ブルームバーグがカバーしているストラテジスト見通しの平均は現在4664前後で、JPモルガンの予想は最低の数値となっている。
JPモルガンは、景気の急速な再加速を前提としたコンセンサス予測について、米金融当局が金利をより高くより長く据え置く可能性を踏まえれば、高過ぎると見受けられるとしている。