概要:フォード・モーターは30日、全米自動車労組(UAW)との新契約に伴う人件費の上昇を受けて、通期の利益見通しを下方修正した。
UAWのストに絡む損失額は推定17億ドル、生産は10万台下振れ
フォードCFO、1台当たりの生産にかかる労働時間の短縮を目指す
フォード・モーターは30日、全米自動車労組(UAW)との新契約に伴う人件費の上昇を受けて、通期の利益見通しを下方修正した。
発表された声明文によると、調整後ベースで2023年の利払い・税引き前利益は100億-105億ドル(約1兆4800億-1兆5570億円)を見込む。7月時点では110億-120億ドルとの見通しを示していたが、UAWのストライキを受けて10月にガイダンスをいったん撤回していた。
フォード、利益は市場予想下回る-通期業績見通しを撤回
フォードのローラーCFO
フォードは、米国内の時給労働者5万7000人を対象とする新契約の期間4年8カ月で、人件費が88億ドル増加すると推定している。
ストに絡む損失額は10月時点の予想13億ドルを上回る17億ドルを見込んでおり、今年の業績への打撃は大きい。また「利幅の大きいトラックとスポーツタイプ多目的車(SUV)」を含め、生産台数はストの影響で計画を約10万台下回ったとしている。
フォードは経費削減と生産性の向上により、新契約に伴う支出増を低減する構えだ。
同社のジョン・ローラー最高財務責任者(CFO)は同日、ブルームバーグテレビジョンの番組で「生産性の向上と効率化に取り組み、労働時間を短縮する必要がある」と指摘。1台当たりの生産にかかる時間を減らしてコストを抑える考えを示した。
前日にはライバルのゼネラル・モーターズ(GM)も、新契約を受けて通期の業績見通しを改めて提示していた。
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