概要:米国債相場の突然の猛烈な上昇で大きな勝ち組となった1人が、かつて「債券王」と呼ばれたビル・グロース氏だ。
2023年12月2日 1:14 JST
かつての「債券王」、SOFR先物の購入を明らかにしていた
市場で米利下げ観測が強まる中、同証券は急上昇
米国債相場の突然の猛烈な上昇で大きな勝ち組となった1人が、かつて「債券王」と呼ばれたビル・グロース氏だ。
米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高投資責任者(CIO)だったグロース氏は、現在は実績の浮き沈みが激しい一介のプレーヤーに過ぎないかもしれないが、10月下旬に金利に関する賭けに出たことが大当たりした。
同氏はこの賭けに出たことをソーシャルメディアX(旧ツイッター)への投稿で明らかにしていた。投資対象は、米金融政策の見通しに密接に連動する担保付翌日物調達金利(SOFR)先物というややニッチな市場だ。利下げ観測が強まる中、同証券は急騰した。
ビル・グロース氏、SOFR先物を購入-年末までの米景気後退を想定
グロース氏は自身の広報担当者を通じて、SOFRに連動した3カ月物の2025年3月限を3000万枚購入したことを確認した。このポジションはまだ有効であり、ブルームバーグの算出によれば、12月1日の価格に基づくと、400万ドル(約5億9000万円)余りの利益を生み出した可能性が高い。
先月は雇用統計や消費者物価指数(CPI)の鈍化が示されたことが債券強気派への好材料となったのに加え、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長ら米金融当局者によるハト派的な発言で相場上昇にさらに弾みが付いた。ブルームバーグのデータによると、短期金融市場は現在、2024年に約1.1ポイントの金融緩和が実施されると織り込んでおり、初回利下げは5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合になると予想されている。