概要:先週発表された11月のユーロ圏インフレデータを受け、欧州中央銀行(ECB)は恐らくこれ以上の利上げはしないだろうと、シュナーベル理事が述べた。
2023年12月5日 18:20 JST
インフレに対する勝利を性急に宣言してはならない
シュナーベル理事はロイター通信とのインタビューでコメント
先週発表された11月のユーロ圏インフレデータを受け、欧州中央銀行(ECB)は恐らくこれ以上の利上げはしないだろうと、シュナーベル理事が述べた。
同理事はロイター通信とのインタビューで「直近のインフレ率を見ると、追加利上げの可能性はかなり低い」と述べた。インタビュー内容はECBのウェブサイトに掲載された。
11月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)指数は前年同月比2.4%上昇と、エコノミスト予想を大きく下回った。
ユーロ圏インフレ率は2.4%、予想以上に鈍化-ECB目標達成が視野
シュナーベル氏は「何が起こるか見てみないとわからない。これまで何度も、どちらの方向にも驚かされてきた。6カ月後に起こることについて発言するのには慎重であるべきだ」とも語った。
1カ月前に10月のデータでも物価上昇率の鈍化が示されたが、シュナーベル氏は再利上げの可能性を否定するのは時期尚早だと警告し、インフレ率をECB目標である2%に戻すための闘いを、長距離走の最後の1マイルを克服することにたとえていた。
現在は、状況が変わりつつあることに自信を深めているもようだ。
シュナーベル理事
Photographer: Ben Kilb/Bloomberg
ECB当局者の中でもタカ派とされるシュナーベル氏の発言を受けて短期金融市場はより急速で大幅な利下げ予想を織り込んだ。来年3月までの0.25ポイント利下げをほぼ完全に織り込んだほか、来年末までに1.5ポイントの利下げを見込んでいる。
3週間前には来年1-3月(第1四半期)中の利下げの確率はほぼゼロとみられており、先月下旬の時点では来年に予想される利下げ幅は0.75ポイントだった。
シュナーベル氏は「11月のインフレ速報値は非常にうれしいサプライズだった。最も重要なのは、より頑固だった基調的インフレ率が、予想以上に急速に低下してたことだ。これは驚くべきことだ。全体として、インフレの進展は心強い」と話した。
ただ、4日のデギンドス副総裁発言と同様に「性急にインフレに対する勝利を宣言してはならない」とくぎを刺した。
デギンドスECB副総裁、インフレで勝利宣言できない-鈍化兆候にも
「今後数カ月には上振れもあると考えている」とし、「幾つかの財政措置やベース効果の反動もあるだろうし、エネルギーや食品で新たな価格高騰が起こる可能性も排除できない」と話した。
ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁も同様の論調で、地政学的緊張が物価上昇圧力を高める可能性があると警告している。
ECBのナーゲル氏、地政学的緊張は「インフレ上昇意味し得る」-報道
当局者らは13-14両日の政策委員会で2回目の金利据え置きを決める見込み。14日には2026年までを含む新しい経済見通しも公表される。