概要:世界最大の資産運用会社ブラックロックは、来年の米利下げを巡る市場の楽観的な見方は行き過ぎている可能性があるとして、長期債から距離を置くことを推奨している。
2023年12月6日 3:23 JST
短中期債や日本株選好、長期の米国債は「アンダーウエート」に
ソフトランディング期待と景気後退懸念の間で揺れる市場は的外れ
世界最大の資産運用会社ブラックロックは、来年の米利下げを巡る市場の楽観的な見方は行き過ぎている可能性があるとして、長期債から距離を置くことを推奨している。
一部のトレーダーは来年1-3月(第1四半期)の米利下げを織り込んだポジションを取っているが、ブラックロックのストラテジストは来年半ばまで金融緩和の開始はないと予想する。
ウェイ・リ氏やアレックス・ブラジエ氏らブラックロックのストラテジストは「こうした期待は裏切られるリスクがある」と指摘。「高金利とボラティリティーの拡大が新たな局面の特徴だ」と続けた。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートがまとめた2024年世界見通しによれば、こうした環境での収入源として短中期債を同社は選好しているが、戦略的なアロケーションでは長期の米国債を「アンダーウエート」にしている。
金利が新型コロナ禍前よりも高い水準を維持すると予想される中、ブラックロックは割高なバリュエーションと弱い経済見通しを理由に先進国株式に対する長期的な戦略的投資判断を「ニュートラル(中立)」に引き下げた。一方で同社は日本株を選好している。
リ、ブラジエ両氏は「市場はソフトランディング(経済の軟着陸)への期待とリセッション(景気後退)懸念の間で揺れ動いている」とした上で、「これは的外れだ。コロナ禍から正常化しつつある経済を形成しているのは構造的な要因だ。これにより、景気循環的なシナリオと構造的な現実との間に断絶が生じ、ボラティリティーをさらに高めている」と分析した。