概要:ADPリサーチ・インスティテュートによると、米民間企業の雇用は11月に増加ペースが鈍った。製造業の雇用者数は2022年初め以来の低水準に減少。労働市場の熱が下がってきている新たな証拠となった。データはADPとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出した。
娯楽・ホスピタリティー、2021年2月後で初めて雇用者数が減少
賃金の伸び、約2年ぶりの低いペースに減速
ADPリサーチ・インスティテュートによると、米民間企業の雇用は11月に増加ペースが鈍った。製造業の雇用者数は2022年初め以来の低水準に減少。労働市場の熱が下がってきている新たな証拠となった。データはADPとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出した。
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教育や医療サービス、貿易、輸送といったサービスセクターの伸びが全体を押し上げた。雇用の伸びは製造業や建設業、娯楽・ホスピタリティーでの削減に抑えられた。新型コロナウイルス禍後の雇用回復を率いてきた娯楽・ホスピタリティーでは、2021年2月後で初めて雇用者数が減少した。
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「そうした押し上げ効果は終わった。娯楽・ホスピタリティーが過去のトレンドに戻ったことは、経済全体での雇用と賃金の伸びが来年に鈍化することを示唆する」と述べた。
この日の統計は、労働者の需要が徐々に後退していることをあらためて示した。雇用の創出は依然健全で、賃金の伸びも再びインフレ率を上回ったものの、借り入れコストの上昇と長引く物価圧力を受け、雇用主は採用ペースをますます落としている。
データは賃金の増加ペース減速をあらためて浮き彫りにした。同じ職にとどまった人の賃金は中央値で前年同月比5.6%、転職した人の賃金は8.3%それぞれ上昇。いずれも2021年以来の低い伸びだった。
地域別では北東部と南部に雇用増加が集中した一方、西部では減少した。
8日に発表される11月の雇用統計では、民間雇用者数の16万人増加が予想されている。5日に発表された10月の米求人件数は21年3月以来の低水準となり、労働市場の冷え込みが広がっていることを示唆した。
10月の米求人件数、2021年以来の低水準-労働市場の冷え込み示唆