概要:日本国債の7日の下落が既に利回り下げ過ぎを懸念していた米国債トレーダーの神経を逆なでし、世界の債券相場上昇にブレーキがかかった。
2023年12月7日 19:40 JST
米国債市場に12月恒例の低流動性の兆し-JPモルガン
日銀当局者発言で2022年12月ショックの再来が懸念される
TDセキュリティーズは8日発表の11月の米雇用統計前に10年物米国債を売ることを勧めた。統計発表を受けて「利回りが急上昇するリスクがある」とみている。JPモルガン・チェースのストラテジストはリポートで、利回りが来年4-6月(第2四半期)についての同行目標を下回ったとして、ここから上昇するリスクがあると指摘した。
日本の30年債入札で応札倍率は2015年以来の低水準となり、債券相場は急落。10年物国債利回りは11bp上昇し0.75%を記録。22年12月20日に当時の黒田東彦総裁が10年債の利回り許容レンジを拡大して市場を驚かせた時以来の急騰だった。
植田日銀総裁が金融政策について「年末から来年にかけてい一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことでトレーダーは12月の日銀政策決定会合が「ライブ」イベントになると考えている。
債券投資家は今週、米国の労働市場に関するデータに対して身構えていたが、これまでの2つのデータは米連邦準備制度の政策転換という期待を支える内容だったが、8日の雇用統計はそれを覆す可能性がある。
米民間企業の雇用ペースが減速、製造業で減少-11月のADP統計
10月の米求人件数、2021年以来の低水準-労働市場の冷え込み示唆
米国債市場は12月恒例の低流動性の兆候も示しているとJPモルガン・チェースはリポートで指摘。TDの金利ストラテジスト、プラシャント・ニューナハ氏によると、これが日銀当局者発言からの影響を増幅している可能性がある。