概要:米国債相場の猛烈な上昇を支えた債券トレーダーらは、先走りし過ぎたのかどうかをもうすぐ知ることになる。
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2023年12月8日 7:47 JST
米国債利回りは雇用の一段の減速を織り込み済み
投資家は今後1年間で少なくとも1.25ポイント利下げ想定
8日発表の米雇用統計では、11月に雇用と賃金の伸びが緩やかになったものの、雇用の大幅な悪化はなったことが示される見通し。最近の債券相場上昇を考えると、トレーダーの強気シナリオを覆すようなサプライズがあれば、少なくとも当初は相場が反転するリスクはある。
ウィズダムツリーの債券戦略責任者、ケビン・フラナガン氏は「米国債相場のこうした上昇には裏付けが必要だ。経済とインフレの数字についてはハードルは高くなっており、景気減速に拍車が掛かっていることが示されなければならない」と指摘した。
ブルームバーグのエコノミスト調査の予想中央値によると、11月の非農業部門雇用者数は前月比18万5000人増と見込まれている。10月は同15万人増だった。11月の失業率は前月と同じ3.9%の見通し。労働統計局によれば、自動車労組とハリウッドの俳優らのストライキで10月に落ち込んだ雇用者数は、スト終結により先月は4万1300人上乗せされた。それを考慮すると、雇用増加ペースは鈍化しているように見える。
雇用統計が底堅い内容なら「拙速に利下げに踏み切らなくてもよいとの口実を米金融当局に引き続き与えることになる」とフラナガン氏は予想した。
そうなれば、債券市場が米金融当局よりも先走りし過ぎたことが浮き彫りになり、現行の引き締めサイクルでこれまでに見られたように、当局の方針転換を早合点してきたパターンを繰り返す危険性がある。