概要:7日の外国為替市場で円が急伸。日本銀行が昨年にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策を修正して以来の大幅高となった。日銀が金融政策を早期にシフトするとの観測が広がり、円買いが膨らんだ。
2023年12月8日 6:44 JST
円は対ドル一時141円71銭、4カ月ぶり高値-日銀総裁発言などで
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7日の外国為替市場で円が急伸。日本銀行が昨年にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策を修正して以来の大幅高となった。日銀が金融政策を早期にシフトするとの観測が広がり、円買いが膨らんだ。
円は対ドルで一時3.8%高の1ドル=141円71銭と、昨年12月20日以来の大幅上昇。8月7日以来の高値となり、200日移動平均の142円29銭を突破した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1239.54 | -4.57 | -0.37% |
ドル/円 | ¥144.08 | -¥3.23 | -2.19% |
ユーロ/ドル | $1.0794 | $0.0030 | 0.28% |
米東部時間 | 16時41分 |
日銀の植田和男総裁が7日の参院財政金融委員会で、金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことが材料視された。
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一方、ドルは下落。先週の米新規失業保険申請件数が市場予想と一致した後、米2年債利回りが低下したことが背景。
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MUFGの外為ストラテジスト、リー・ハードマン氏は世界的な利下げ観測が強まる中、日本銀行が今月中にも超金融緩和政策を終了するとの見方は円を大きく押し上げる可能性があると指摘。
「日銀が行動する場合でも1回の小幅な利上げとなるだろうが、米金融当局や他の中銀がより積極的に利下げすれば、それだけでも来年の円反発を後押しするには十分強力だ」と話した。
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エバコアISIのクリシュナ・グハ氏は、日本銀行が12月にサプライズの利上げを真剣に検討するとの「見方には賛成しない」と指摘。
「1月の方が可能性としては高いと考える」とし、「日銀は1月に行動するという重大な選択肢を主張しつつ、実際には4月の利上げに傾いている。従って、方向性は正しいが、この日の戦術的トレードはオーバーシュートした可能性が高い」と述べた。
ライアン・ハモンド、デービッド・コスティン両氏を含むゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、米国株は経済成長に関する楽観的な見通しを既に織り込んでおり、いかなるマクロショックにも「脆弱(ぜいじゃく)」な状況となっていると指摘。「楽観的なシナリオの大半は既に米国株の価格に反映されていると考える」とリポートに記した。
米国債
米国債は高安まちまち。10年債利回りが上昇した一方、2年債利回りは小幅低下した。市場は8日の雇用統計に目を向けている。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.25% | 3.8 | 0.91% |
米10年債利回り | 4.14% | 4.0 | 0.97% |
米2年債利回り | 4.59% | -0.3 | -0.05% |
米東部時間 | 16時41分 |
米失業保険申請件数がおおむね市場予想と一致したことで、市場の利下げ観測も変わっていない。利下げ幅に関する議論が引き続き焦点となっており、それは最終的に雇用とインフレの減速度合いに左右される見通しだ。
オアンダのシニア市場アナリスト、クレイグ・アーラム氏は「この日の失業保険統計は、それ自体が特に目を引いたわけではない」と指摘。「8日発表の雇用統計が実に重要だ。特に賃金の項目だ」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物は小幅ながら6営業日続落。早い時間帯には買いが優勢となり、一時はバレル当たり70ドル台に戻す場面もあったが、勢いは続かなかった。供給過剰懸念が根強い中、相場の主導権はアルゴリズム取引が握っているとみられる。
CIBCプライベート・ウェルスのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は「テクニカルな反発は裏付けが弱く、ショートカバーによる大幅な上昇につながる好材料が出るまで、持続力に欠ける可能性がある」と述べた。
モルガン・スタンレーのアナリストはリポートで「金価格は適正水準にあるとみている」とした上で、「利回りへの感応度は弱まり、地政学リスクは織り込み済みのようだ」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は1.5ドル(0.1%)安の2046.40ドルで取引を終えた。