概要:米S&P500種株価指数の命運は、一部大手ハイテク企業が人工知能(AI)への投資を一段の利益成長につなげられるかどうかに今後ますます左右されそうだ。
今年は大手ハイテク7社がS&P500種上昇全体の大半をもたらす
企業にはAI関連の利益期待を実現するよう圧力が強まっている
米S&P500種株価指数の命運は、一部大手ハイテク企業が人工知能(AI)への投資を一段の利益成長につなげられるかどうかに今後ますます左右されそうだ。
今年はマイクロソフトやエヌビディアを含む7社が、S&P500種の上昇全体の約4分の3をもたらした。AIが経済全体に広く影響を与え得るという投資家の強い期待が背景にある。バリュエーションは高く、それら企業は、予想株価収益率(PER)平均32倍で株価が推移。上昇を続ける株価に込められた業績期待を実現するよう、企業に対する圧力が強まりつつある。
JMPセキュリティーズのマーク・リーマン最高経営責任者(CEO)は、「AI関連の利益を主張する企業が、実際にその利益を示し始めなければならない時が近づきつつある」と指摘した。
上記の7社は7-9月期に、合計で990億ドル(約14兆3500億円)という記録的な利益を計上。7社はS&P500種の30%近くを占めており、指数に対する影響力がかつてないほど大きくなっている。
このグループにおける今年の利益成長の大半を生み出しているのはエヌビディアだ。大型株の中で、AI需要を背景に顕著な収益増を実現したのは同社のみ。エヌビディアは今年、利益が約280億ドルに達すると見込まれている。前年の約44億ドルからの大幅増となる。利益増の大半は、大規模言語モデルの訓練に利用されるアクセラレータの売り上げが寄与している。ただその他の6社は、AIによる利益増をまだあまり実現できていないのが現状だ。