概要:米金融調査会社ライトソンICAPは11日、米連邦準備制度が進めているバランスシート圧縮について、準備預金を巡る展望が見通せない状況になるにつれて、圧縮のペースを落とさなければならなくなるだろうとの分析を示した。
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2023年12月12日 14:26 JST
米国債のランオフ、月間最大300億ドル相当にペース落とす可能性も
バランスシート正常化を一段と漸進的に進めれば当局の柔軟性も増す
米金融調査会社ライトソンICAPは11日、米連邦準備制度が進めているバランスシート圧縮について、準備預金を巡る展望が見通せない状況になるにつれて、圧縮のペースを落とさなければならなくなるだろうとの分析を示した。
金融当局は過去1年半にわたりランオフ(償還に伴う保有証券減少)を通じてバランスシートを圧縮しており、現在そのペースは米国債が月間最大600億ドル(約8兆7300億円)相当、住宅ローン担保証券(MBS)は同350億ドル相当となっている。
同社チーフエコノミストのルー・クランドール氏は顧客向けリポートで、金融当局が来年6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後にこれまでよりも慎重なアプローチを採用すれば、こうした量的引き締め(QT)のペースの減速につながる可能性があるとみる。
具体的には、2024年7-9月(第3四半期)に米国債ランオフのペースを同300億ドルに落とす一方、MBSに関してはしばらくの間、現行ペースでのランオフを続けると見込んでいる。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる当局者は、現在3兆5000ドルに上る準備預金残高を潤沢と考えている。だが、月末に伴う資金調達圧力やディーラーがバランスシートに抱える多額の米国債などさまざまな要因が重なり、担保付翌日物調達金利(SOFR)は今月に入り過去最高水準に達していた。
こうした市場の動きは資金調達市場が銀行のバランスシート、さらには金融当局自体の政策方針に敏感であることを浮き彫りにするものだ。
クランドール氏は、連邦準備制度がバランスシート正常化を一段と漸進的に進めるなら、金融当局の柔軟性は増し、QTが短期金融市場に及ぼす影響を評価する時間もさらに確保することができると指摘した。