概要:投資家に空売りや関連する貸株についてはるかに多くの情報開示を強いる米証券取引委員会(SEC)の新たな規則にヘッジファンドが異議を唱えている。
投資家に空売りや関連する貸株についてはるかに多くの情報開示を強いる米証券取引委員会(SEC)の新たな規則にヘッジファンドが異議を唱えている。
ヘッジファンドの業界団体マネージド・ファンズ・アソシエーション(MFA)とオルタナティブ・インベストメント・マネジメント・アソシエーション(AIMA)、ナショナル・アソシエーション・オブ・プライベート・ファンドマネジャーズ(NAPFM)は12日、ルイジアナ州ニューオーリンズにある連邦高裁に、SECが10月に採択した規則を無効とするよう求めたことを明らかにした。
各団体は声明で、SECは同規則が財務に与える複合的な影響を十分に計算しておらず、「同じ原資産取引の2つの側面に対して矛盾し一貫性のないアプローチを適用することになる」と主張した。
声明は「特に、SECは一方の規則では空売り者の匿名性の価値を保護し(空売り者が流動性と価格効率性に貢献していることを認め)ながら、もう一方の規則では空売り者の証券貸借とポジションの機密情報を細かくさらしている」と指摘した。
SECは声明で反論し、「規則制定を権限と行政手続きを管理する法律にのっとって行っており、当局は異議を申し立てられた規則について法廷でしっかり擁護する」と述べた。
空売りに関する新規則では、私募ファンドは月次ベースで取引報告を義務付けられている。株式を貸し出している年金基金や銀行、機関投資家は翌日に取引を報告しなければならない。ゲンスラーSEC委員長は10月13日にこの規則を承認した際、情報の非対称性が一部のトレーダーに不利に働く可能性のある3兆ドル(約440兆円)規模の証券貸借市場で透明性を高めるために必要な措置だと説明していた。