概要:米国の消費者物価は11月に上振れし、政策金利を当面高い水準で維持する連邦準備制度理事会(FRB)の意図を補強する形となった。
米国の消費者物価は11月に上振れし、政策金利を当面高い水準で維持する連邦準備制度理事会(FRB)の意図を補強する形となった。
米CPI、11月に上振れ-インフレ低下への険しい道を浮き彫りに
キーポイント |
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11月米CPIに関する市場関係者のコメントは以下の通り。
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏
近い将来に向けた利下げ期待や臆測が広がった後、この日のCPI統計はそのムードをやや沈ませるものだ。端的に言えば、これは市場の政策緩和期待を再確認あるいは正当化する十分なインフレ減速を示していない。とりわけ、労働市場が依然かなり堅調なことを考慮すればなおさらだ。パウエルFRB議長は13日に、最近の市場でみられるこうした見方を押し返すはずだ。同議長がそうしない場合、FRBがどういう立場を取っているのかがはっきりするだろう。
◎LPLファイナンシャルのチーフ・グローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏
インフレは緩和が続いているが、FRBが勝利宣言することはないだろう。頑強でいわゆる『粘着性のある』インフレの低下ペースは予想よりも遅い。市場にはFRBが来春にも利下げに踏み切るとの見方が根強いが、インフレ抑制の取り組みで難しさが増す『最後の1マイル』が終わっていないのであれば、金融当局は選択肢をオープンにしておきたいだろう。
◎インディペンデント・アドバイザー・アライアンス(IAA)のクリス・ザカレリ氏
このデータにサプライズはなく、13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での金利据え置き決定に疑いの余地は全くなかったものの、FOMCが来年も当面金利を維持し、来年後半になって利下げを開始するという可能性を阻止するものは一切ない。FOMCは金利をより高くより長く維持し、インフレ率が下がるのを辛抱強く待つだろうと当社ではみている。
◎ロンバード・オディエ・アセット・マネジメントのマクロ調査責任者、フロリアン・イエルポ氏
今回のインフレ統計が正しい方向への小さな一歩だということに異論を挟む人はいないだろう。しかし、インフレ率が高止まりすればするほど、2次的影響が出てくる可能性は高くなる。
◎コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークの債券部門ディレクター、サム・ミレッテ氏
結局のところ、今回のCPI統計に大きなサプライズはなかった。米金融当局の金利決定に大きな影響を与えることはないだろう。