概要:不動産サービス会社、CBREグループによると、欧州では今後4年間に巨額の不動産債務が返済期限を迎えるが、その4分の1以上が借り換えられない可能性がある。
不動産サービス会社、CBREグループによると、欧州では今後4年間に巨額の不動産債務が返済期限を迎えるが、その4分の1以上が借り換えられない可能性がある。
同社の分析によると、2019-22年にかけて実行された推計6400億ユーロ(約10兆円)の融資と、現在借り換え可能な金額との間には、1760億ユーロものギャップがある。CBREは24-27年にかけての潜在的な不足額の規模を調査した13日のリポートで、不動産価値が低下し、借り換えに応じる貸し手が減ると同時に借り入れコストが上昇していることを指摘した。
銀行は、資産価値の急落とバランスシート上の問題不動産ローンの増加に直面し、融資を抑制している。資産価値の下落に伴い相対的に債務負担が増大している借り手にとって、既に厳しい環境はさらに悪化。借り手は新たな融資を確保するために追加のエクイティーを注入したり、売却可能な資産を売却したりしている。
タソス・ベジリディス氏らリポートの筆者は「欧州の不動産市場は過去2年間、困難に直面してきた。市場の状況はレバレッジを効かせた投資家にとって特に厳しい」と指摘した。
CBREのデータによると、オフィスビルに対するローンが借り換え困難額のほぼ半分を占めている。
予想されるギャップは現在の物件価格と借入可能額に基づいているが、金利が安定し、中央銀行が市場の予想通り利下げに転じれば、期間中に縮小する可能性がある。CBREの分析によると、そうなれば、資産価値がある程度回復し融資条件が改善され、ギャップは約35%縮小する。