概要:欧州の銀行監督当局は、プライベートクレジットなど伝統的な銀行セクター以外の分野で蓄積される可能性のあるリスクに関するデータ不足に神経をとがらせている。欧州銀行監督機構(EBA)のカンパ議長が明らかにした。
2023年12月13日 21:26 JST
より多くの情報を得る必要があるとEBAのカンパ議長
金融安定理事会が「過度なレバレッジ」への対応を進める-カンパ氏
欧州の銀行監督当局は、プライベートクレジットなど伝統的な銀行セクター以外の分野で蓄積される可能性のあるリスクに関するデータ不足に神経をとがらせている。欧州銀行監督機構(EBA)のカンパ議長が明らかにした。
同議長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「われわれは、銀行以外の金融セクターからの融資について懸念している。懸念の主な理由は、それがわれわれにとってブラックホールのようなものだからだ。われわれはあまり情報を持っていない」と語った。
ブルームバーグテレビジョンでプライベートクレジットなどについて語るEBAトップのカンパ氏
2008年の金融危機の余波で規制が強化された伝統的な銀行の穴を埋めるために、銀行業界以外の企業が参入するケースが増えている。監督当局がノンバンクと呼ばれる金融仲介業者の一部を取り締まる一方で、プライベートクレジットについてはそのような企業の透明性の欠如から遅れている。
13日にロンドンで講演したカンパ氏は、金融安定理事会(FSB)がこの問題に取り組んでいると述べた。FSBは来年、ノンバンクの「過度なレバレッジ」への対応を進めるという。
カンパ氏はプライベートクレジットを抑制するための新たな規制権限を求めることはせず、「少なくとも、そこに金融安定へのリスクがないことを確認するために、より多くの情報を得る必要がある」と述べた。伝統的な銀行部門に問題が「波及」するリスクも指摘した。