概要:米銀シティグループは地方債事業を閉鎖する。リターン向上を目指すジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)の動きとして、これまでで最も大がかりなものの一つになる。
米銀シティグループは地方債事業を閉鎖する。リターン向上を目指すジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)の動きとして、これまでで最も大がかりなものの一つになる。
ブルームバーグ・ニュースが確認した従業員宛て文書によれば、シティは地方債事業について「当社全体のリターンを高めるというわれわれの取り組みを踏まえると、もはや続けられない」と判断した。同事業は州や地方自治体が発行する債券の引き受けランキングで順位が大幅に低下していた。
シティは来年1-3月(第1四半期)末までに事業閉鎖を完了させる方針で、「この結果、地方債の営業やトレーディング、バンキング業務担当者の大半は残念ながら向こう数カ月以内にシティを去ることになる」と、同行のトレーディング担当最高幹部のアンディ・モートン、ピーター・バベジ両氏が文書で説明した。事情に詳しい関係者によると、約100人の社員が対象になる。
シティがかつて支配的地位にあった事業から撤退するかどうか検討中との11月の報道は、地方債市場に衝撃を与えた。4兆ドル(約570兆円)規模の州・地方自治体の債券市場で同行は数十年にわたって中心的存在だった。ニューヨーク市のワールド・トレード・センター跡地の再建やデトロイト市周辺での6万5000基の街灯設置など画期的なプロジェクトを支援した。
だが同部門は、シティを多国籍の大企業にとって最高の銀行にするというフレーザー氏の総合的な目標に合わなくなった。またテキサス州で2021年に成立した銃器に関する法律を理由に多くの取引から閉め出されるなど、同州の政治情勢からも打撃を受けた。テキサス州は今年、地方債販売でトップの市場であり、こうした政治的な動きは同部門の収入と全体の収益性を圧迫した。
事情に詳しい複数の関係者が非公開情報を理由に語ったところでは、行内での数カ月に及ぶ集中的な議論の末、今回の決定が下された。