概要:米電気自動車(EV)大手テスラと北欧全域の労働組合との対立が金融市場に波及する恐れが出てきた。年金基金や資産運用会社のグループがテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に方針変更を促す書簡を送付したためだ。
機関投資家グループ、「北欧モデル」を採用するようテスラに要請
テスラの北欧全体での自動車納入台数、ドイツを上回る
米電気自動車(EV)大手テスラと北欧全域の労働組合との対立が金融市場に波及する恐れが出てきた。年金基金や資産運用会社のグループがテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に方針変更を促す書簡を送付したためだ。
14日に送付された書簡によると、北欧の機関投資家グループ(運用資産総額1兆ドル=約142兆円)はスウェーデンの労働者の権利に対するテスラの姿勢に「深い懸念」を抱いていると表明。テスラに対して従業員の労働協約を受け入れるよう要請した。ブルームバーグが確認した同書簡には、デンマークの年金基金などが署名している。
少なくとも15の機関投資家から成る同グループは、テスラがスウェーデンの整備工場7カ所の整備士に対して最低賃金やジェンダー平等といった基本的な権利を保護する協約の締結を認めていないのは、いわゆる「北欧モデル」に反する行為だと主張した。書簡ではまた、まさに同じモデルが北欧におけるテスラの「著しい市場シェア」拡大に寄与してきたとも指摘している。テスラの北欧での自動車納入台数はドイツを上回る。
同投資家らは書簡でテスラ株を売却する構えを見せたわけではないが、亀裂は生じ始めている。先週にはデンマークのファンドが今回の対立を受けてテスラ株を公に売却した同地域初の主要資産運用会社となった。
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