概要:米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が今週、すでに金融緩和への転換を織り込んでいた市場をさらに前のめりにするような発言を行ったことで、市場関係者からはとまどいの声が一部で上がっている。
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2023年12月16日 4:46 JST
フランクリン・テンプルトンのデサイ氏、金融環境のゆるみを警戒
市場の勢いをシフトさせるのは難しい-アクサのイッゴ氏
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が今週、すでに金融緩和への転換を織り込んでいた市場をさらに前のめりにするような発言を行ったことで、市場関係者からはとまどいの声が一部で上がっている。
15日には、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が3月利下げを議論するのは時期尚早だと発言。市場の高揚感を抑えようとけん制したが、今週の値上がりを巻き戻すには至らなかった。
ウィリアムズNY連銀総裁、3月利下げについて話すのは「尚早」 (1)
フランクリン・テンプルトンのソナル・デサイ債券担当最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンで、パウエル議長の記者会見での発言について「困惑している」と述べた。「金利低下の動きをあおることが必要だと議長がなぜ判断したのか全く分からない。金利の上昇に伴い、適切な金融引き締め環境をもたらす市場の役割についてこれまで認めていたことを踏まえればなおさらだ」と述べた。
その上で「米金融当局が一定の慎重姿勢を示したいと考えれば、向こう数週間に市場の熱狂を少し抑えようとするだろう」と続けた。
ゴールドマン・サックス・グループの金融環境指数(FCI)は今週低下し、国債利回りが急上昇していた10月下旬の水準を1ポイント余り下回った。
ウィリアムズ総裁の発言を受けた後でも、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合に連動するスワップ契約は、来年およそ150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを織り込んでおり、3月利下げ開始の予想確率は約8割に上っている。
アクサ・インベストメント・マネジャーズでコア投資の最高投資責任者(CIO)を務めるクリス・イッゴ氏は、ウィリアムズ氏の発言に先立つ15日付けのリポートで「利下げのタイミングに関しては、米金融当局から押し戻す発言が幾分出てきそうだが、利上げ終了と金融緩和を特徴とするサイクルの次の局面という点に関してはもう隠されていない」と指摘。「市場の勢いをシフトさせるのは難しい」とみている。