概要:日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールを1株55ドルで買収すると発表した。買収総額は約141億ドル(約2兆円)で、2024年第2四半期または第3四半期の実行を予定する。
日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールを1株55ドルで買収すると発表した。買収総額は約141億ドル(約2兆円)で、2024年第2四半期または第3四半期の実行を予定する。
発表によると、日本製鉄はUSスチールを完全子会社化する予定。買収額には新株予約権など、その他証券取得に関する支払いも含まれる。取得価格はUSスチール株式の15日の終値(39.33米ドル)に対して40%のプレミアムを加えた価格。USスチールは現社名とペンシルベニア州ピッツバーグ本社を維持する。
発表を受けてUSスチールの株価は急騰し、ニューヨーク時間18日早朝の時間外取引で一時28%高の50.50ドルとなった。
日本製鉄は海外事業について、「選択と集中」によって収益力を高めるとしていた。24年にはアルセロール・ミタルとの合弁先の米国南部アラバマ州の電炉が稼働する予定。
買収のための資金については、主として主要取引銀行からの借入金で対応する予定で、資金の手当ては確保している。また、買収の条件は関係当局の承認が得られることやその他合併契約に定める前提条件が満たされることだという。
買収額2兆円は日本企業が関わる合併・買収(M&A)としては規模が大きい。過去の大型M&Aには武田薬品工業のシャイアー買収や、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の米スピードウェイ買収などがある。
USスチールは身売りも含めた経営戦略の検討に乗り出すと表明。8月に同業の米クリーブランド・クリフスからの買収提案を拒否していた。ミタルやカナダ鉄鋼大手ステルコなど複数の鉄鋼会社が買収に意欲を示しているとの観測が流れていた。
12月に入ってからは1株あたり40ドルを超える買収案をUSスチールが受け取ったという報道があった。