概要:米連邦準備制度のハト派的な方向転換は、米国株についてウォール街で最も頑固な弱気派の見方をも変えようとしている。
2023年入りに向けて予測筋は、高い金利が景気をリセッション(景気後退)に陥らせ、企業収益を悪化させ、株売りを加速させると警告していた。しかし、労働市場、消費者、そして米国企業は粘り強く、S&P500種は約24%上昇した。
それでも一部のストラテジストは考えを変えず、借入コスト上昇の影響が遅れて現れればいずれ投資家に現実を突きつけることになるだろうと主張した。しかし連邦準備制度当局者が先週、利上げは終了した可能性が高く、来年は利下げを実施するとの見通しを示したことで、こうした警告に固執することは難しくなった。
カントロウィッツ氏は15日のリポートで、金融政策のハト派転換は株式に強気だという明白な歴史的前例があるとして「私は今年、株式のアブソルートリターンについて大いに間違っていた」と認めた。「オープンマインドを保ち、歴史と自分の枠組みを守り、エゴを飲み込んで頑固さを捨てる用意がある」と表明した。
ウォール街のストラテジストたちは総じて今年の予想が外れたが、24年に向けて株式について楽観的な見方を強めている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ドイツ銀行、BMOキャピタル・マーケッツなどは、S&P500種が来年5000を超えるだろうと予測している。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、デービッド・コスティン氏も来年末までに5100に達するとみて、11月半ばの4700から予想を引き上げた。
それでも、コンセンサス予想は依然として保守的だ。来年の平均予想は4800強で、現水準からの上昇率は1%程度とみられている。
モルガン・スタンレーのウィルソン氏は、金融当局の方向転換を「株式市場にとって歓迎すべきニュース」としながらも、来年のS&P500種の目標は4500に据え置いている。
「当局がインフレ率を2%の目標まで低下させることよりも、成長を持続させることに重点を置き始めるのであれば、ソフトランディングの確率が高まることを意味し、株式にとって強気の展開だが、このハト派的シフトがこの先インフレが再加速するリスクを増大させないとは言い切れない」と論じた。