概要:欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は、賃金上昇の力強さを巡る不確実性やユーロ圏経済が来年回復するとの見通しを指摘し、ECBが利下げを急ぐ理由はないとの見解を示した。
賃金上昇の力強さを巡る不確実性などを理由に挙げる
追加利上げも完全には排除しない-独紙のインタビューで発言
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は、賃金上昇の力強さを巡る不確実性やユーロ圏経済が来年回復するとの見通しを指摘し、ECBが利下げを急ぐ理由はないとの見解を示した。
クノット総裁はドイツ紙ベルゼン・ツァイトゥング(BZ)とのインタビューで、このところのインフレ鈍化はECBの金融引き締め効果を「確認する非常に歓迎すべきこと」だとした上で、勝利宣言をするには時期尚早だと発言。現在入手できる情報に基づけば、来年上期に利下げを行う可能性は低いと述べた。
欧州労働者の40-50%は2024年の初めに賃金の再交渉が行われ、その結果が完全に生じるのは年央だと、同総裁は指摘。
「証拠に基づき政策決定を行うわれわれが、そうした重要な情報の入手を待たずにどうして決定できようか」とし、「インフレ状況が継続的に好転したと言う前に、賃金動向を注視する必要がある」と語った。
クノット総裁は「私は利下げを急がないだろう」と発言。「可能性はかなり低いが、追加利上げを完全に排除することはまだしない」と付け加えた。