概要:米電気自動車(EV)メーカー、テスラの管理職は一部の従業員に対し、今年は能力に基づく株式報酬を付与しないと伝えた。
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2023年12月20日 11:24 JST
従業員は依然として生活費手当の小幅増額や基本給の調整を受けた
マスクCEOは以前から従業員の株式保有の重要性を強調してきた
米電気自動車(EV)メーカー、テスラの管理職は一部の従業員に対し、今年は能力に基づく株式報酬を付与しないと伝えた。
同社はこの変更の理由を明らかにしなかったが、さまざまな部門の従業員4人がブルームバーグに語ったところによると、この動きは広範囲に及んでいるという。ただ、従業員は依然として生活費手当の小幅増額や基本給の調整を受けた。
従業員は通常の年次勤務評価では、給料の調整を受けるとともに、能力に基づく株式報酬が既存の持ち株に上乗せされて付与される。しかし、従業員らによれば、今年は高い成績を上げた社員でさえ、能力に基づく報酬を付与されなかったという。株式報酬の4年間の権利確定サイクルが終了した従業員の中には、報酬総額の競争力を維持するために、株式の「リフレッシャー」を支給された人もいた。
これが1回限りの例外的な状況なのか、株式報酬により的を絞ったアプローチを取るというテスラの報酬方針の大きな転換の一環なのかは不明だ。全世界で14万人の従業員を抱えるテスラは問い合わせに応じていない。同社はこれまでも従業員への報酬支給方法を変更している。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は以前から、従業員の株式保有の重要性を強調してきた。同社はこうした株式報酬の活用によって、現金を温存しながら報酬総額を高く維持することが可能になっているほか、マスク氏はこの報酬支給方法が労組結成の動きを回避するのに寄与しているとの見方を示していた。
マスク氏は先月のニューヨーク・タイムズの「ディールブック」カンファレンスで、「課題となっているのは、より楽な仕事ができる機会が6つぐらいある状況の中で、自動車製造という大変な仕事に従事する優秀な人材をいかにして引き留めるということだ」と指摘。「われわれが全ての人の繁栄の確保に尽力しているのは間違いない。全員にストックオプション(株式購入権)を付与している」と述べていた。
制限付き株式ユニット(RSU)の形で付与される株式報酬は通常、ライバルと比較すると、これまで従業員にテスラにとどまるモチベーションを与えてきた。新入社員には通常、基本給に加え、4年間で権利が確定する株式報酬が付与される。これは短期間で退職した場合、多額の報酬を受け取る可能性を断念することを意味する。