概要:モルガン・スタンレー傘下部門の幹部ジタニア・カンダリ氏は、今年裏目に出たかのように見える新興国市場に対する強気な戦略について、見方によっては奏功していると言えるとの考えを示した。
カンダリ氏、1月に米国株優位の時代は終わったと発言
S&P500種は発言以降に17%上昇、新興国市場株は5%下落
新興国市場の株式は今年、米国株をアンダーパフォームしており、1987年以来の大きな差をつけられている。カンダリ氏の新興国戦略についてブルームバーグが伝えた1月24日以降では約5%の下落だ。同氏のファンド「パスポート海外株式ポートフォリオ」は今年、新興国市場ベンチマークのほぼ2倍となる7%のリターンをたたき出す見通しだ。とはいえ、年初来でS&P500種株価指数が24%昇、ナスダック総合指数が42%それぞれ値上がりしている米国に投資していた方が、はるかに大きなリターンを得られていただろう。
だが、カンダリ氏はデータを深堀りしてみると、単に読みが外れたというよりも、やや違った構図が浮かび上がってくると話す。新興国株指数から中国を除くと、年初来で16%近く値上がりしており、ここ4年で最高のパフォーマンスに向かっているという。
一方で、米国株は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる人工知能(AI)に関連したハイテク7社が軒並み50-250%上昇して相場全体をけん引しており、これらの銘柄を除くと、米国は欧州と中国を除く新興国市場の双方を下回っている、とカンダリ氏は指摘。「マグニフィセント・セブンを除けば、米国市場は1桁前半の値上がりにとどまっている点に留意することが重要だ。多くの歪みが生じている」とし、新興国市場の10年の始まりとの自身の見立てについて「現時点でさらに確信を強めている」と語った。