概要:米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、パラマウント・グローバルとの合併の可能性について議論した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、世界の映画・テレビ番組制作大手2社の統合につながる可能性がある。
米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、パラマウント・グローバルとの合併の可能性について議論した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、世界の映画・テレビ番組制作大手2社の統合につながる可能性がある。
関係者の1人は、協議が予備的なもので、合意には至らないかもしれないと述べた。話し合いが初期段階にあるとして関係者は匿名を条件に話した。
ニュースサイトのアクシオスが先に報じたところによれば、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのデービッド・ザスラブ最高経営責任者(CEO)は、パラマウント・グローバルのボブ・バキッシュCEOと19日にニューヨークで会談し、合併の可能性について協議した。ザスラブ氏は、パラマウントのシャリー・レッドストーン会長とも話をしたという。レッドストーン一族持ち株会社は、CBSやその他のテレビ局を所有するパラマウントの支配的株式を保有する。
両社が合併すれば、パラマウントやワーナー・ブラザースの映画・テレビスタジオを含むハリウッドの有名企業が統合され、HBOやCBSなど多くの有料テレビ局・放送局が傘下に置かれることになる。
大手メディア企業2社の合併となれば、バイデン政権下で数々の合併に異議を唱えてきた連邦規制当局の厳しい審査に直面する公算が大きい。アクシオスによると、ワーナー・ブラザースの幹部は、同社がパラマウント傘下のCBSのような放送網を所有していないため、このような合併の完了は可能だと述べている。
消費者の嗜好(しこう)がストリーミングサービスに移行し、ケーブルテレビ契約の解約につながっていることで、両社は苦戦を強いられている。ストリーミング事業は運営コストが高く、従来型事業の利益縮小を補うには至っていない。番組制作費、特にスポーツ番組のコストは高騰している。
パラマウントの考えに詳しい関係者によると、取締役会は他のメディア大手との提携、あるいはプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やテクノロジー企業への売却など、戦略的な選択肢によりオープンな姿勢を見せている。
パラマウントの株価は20日の時間外取引で1%余り下落。ワーナー・ブラザースは1.5%近く値下がりした。