概要:ウォール街の市場関係者は2023年に入る前、ほぼ例外なく、22年の株式相場の急落後にさらに痛みが続くと予想していた。反発を予測した人は一握りにすぎなかった。しかし、そうした少数派の読みが的中した。
ウォール街の市場関係者は2023年に入る前、ほぼ例外なく、22年の株式相場の急落後にさらに痛みが続くと予想していた。反発を予測した人は一握りにすぎなかった。しかし、そうした少数派の読みが的中した。
1年前の時点では、JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏やモルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏ら、予測が注目を集める市場関係者は、金利上昇および最終的な景気悪化がさらなる相場下落の引き金になるとの見通しを示していた。
モルガン・スタンレー・インベスト・マネジメントのジム・キャロン氏、「この先はもっとずっと不安定で不確実なものになるだろう」
Source: Bloomberg
しかし、ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトム・リー氏、オッペンハイマー・アセット・マネジメントのジョン・ストルツファス氏、BMWキャピタル・マーケッツのブライアン・ベルスキ氏を含む一部の強気派は、悲観的な見方が行き過ぎだとして相場回復を予想していた。
また、カーソン・グループ・ホールディングスのライアン・デトリック氏は、経済の強靱(きょうじん)さが株価を押し上げると予想。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のサビタ・スブラマニアン氏は、今年半ばに相次ぎポジティブな見方に転じた市場関係者の流れを主導した。
カーソン・グループのチーフマーケットストラテジストであるデトリック氏は「相場が最高値を更新する可能性について話したら、クレージーだと思われたことがある」と指摘。「しかし、市場に広がる圧倒的にネガティブな見方には驚かされた。市場は既に多くの悪材料を織り込んでいたことを忘れないことが重要だ」と述べた。
S&P500種株価指数が最高値更新まであと少しに迫る中、昨年の相場急落を予測できなかったこれらの強気派は、今や自らの予想についてある程度の正当性を主張することができる。24年については、労働市場が堅調さを維持し、米利下げを巡る確信が高まるのに伴い、相場が一段と強含むと予想している。
米国株強気派5人の23年の相場へのアプローチの仕方および24年の見通しは以下の通り。
ファンドストラットのトム・リー氏
ファンドストラットの共同創業者で調査責任者のリー氏は、S&P500種の23年末目標を4750に設定。ブルームバーグが調査するストラテジストの中で最も正確に同指数の道筋を予想していた。
同氏の来年のS&P500種の目標は5200と、引き続き最も強気な市場関係者の一人となっている。
ジョン・ストルツファス氏
Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg
BofAのサビタ・スブラマニアン氏
米国株とクオンツ戦略の責任者であるスブラマニアン氏は、年央に米国株に対してポジティブな姿勢に転換したことで、今年の勝ち組の1人となった。
同氏は年初にS&P500種について4000という弱気な見通しを示していたが、5月には強気スタンスに転換し、セルサイドのアナリストも相次ぎこれに追随。同氏はS&P500種の年末目標を2回引き上げ、4600とした。
同氏は24年についても強気姿勢を崩さず、S&P500種の目標を5000に設定。同氏は株価上昇見通しの理由として、ソフトランディングや、企業や消費者が金利上昇に適応する可能性を挙げている。
S&P500種は来年過去最高値の5000に-BofAのスブラマニアン氏