概要:全米不動産業者協会(NAR)が発表した11月の中古住宅販売件数は、市場の予想外に増加した。南部での伸びが目立った。借り入れコスト上昇と在庫不足が影響し中古住宅市場はここ2年にわたって低迷が続いているが、一服感が示された格好だ。
11月の中古住宅販売は前月比0.8%増の年換算382万戸-予想378万戸
中古住宅の販売価格(中央値)は前年同月比4%上昇の38万7600ドル
高止まりする借り入れコストと価格高騰が相まって、中古住宅市場では買い手・売り手側とも動きが停滞している。住宅取得能力を示すNARの指標は、7-9月(第3四半期)に過去最低に落ち込んだ。30年物住宅ローン金利が7%を割るなど資金調達コストは最近になって低下してきたが、借り入れコストは依然として2年前の水準の2倍となっている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表文で、「直近における中古住宅販売の弱さについては、10月の大半における買い手側の入札プロセスを反映している」と指摘。10月に販売が成約して11月に取引が完了するとし、10月の住宅ローン金利は20年ぶり高水準だったと説明した。ただその上で、「住宅ローン金利がここ数週間に急低下していることから、状況が大きく好転することもあり得る」と述べた。
米30年物住宅ローン金利、6.83%に低下-6月以来の低水準
また記者団との電話会見では、最近の住宅ローン金利低下に関する質問に対し、中古住宅販売は循環的な底に達した可能性が高いと指摘。ただ「有意な回復は2、3カ月見られない可能性がある」とも述べた。
中古住宅販売在庫は113万戸に減少。現在の販売ペースで見た場合、在庫消化に要する期間は3.5カ月。5カ月を下回ると在庫がタイトと見なされる。
中古住宅の販売価格(季節調整前、中央値)は前年同月比4%上昇の38万7600ドル(約5570万円)。この上昇率は2022年11月以来の大きさ。11月に売れた住宅の62%は、市場に出てから1カ月未満で買い手が決まった。物件が市場に出ている平均期間は25日。前月は23日だった。
地域別では4地域のうち2地域で販売が増加。最大地域の南部が4.7%増と最も伸びた。このほか中西部でも増加。一方で西部は過去最低に落ち込んだ。