概要:人間や貨物をチューブを通して都市から都市へ、航空機並みのスピードで送り届ける未来的な超高速輸送システム、ハイパーループ。この技術の実用化を目指すハイパーループ・ワンが、事業を閉鎖しようとしている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
コンテンツにスキップする
2023年12月22日 5:19 JST
人間や貨物をチューブを通して都市から都市へ、航空機並みのスピードで送り届ける未来的な超高速輸送システム、ハイパーループ。この技術の実用化を目指すハイパーループ・ワンが、事業を閉鎖しようとしている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
かつて注目の新興企業だったハイパーループ・ワンは、ピッチブックによると2014年の創業以来、4億5000万ドル(約640億円)を超える資金を調達。ラスベガス近郊に技術開発のための小さなテストトラックを建設した。同社は資産家リチャード・ブランソン氏のヴァージンから出資を受けた後、社名をヴァージン・ハイパーループ・ワンに変更したこともあった。同社が技術開発の焦点を人から貨物に移した後、ヴァージンはブランド名を外した。
部外秘であることを理由に匿名で話した関係者の1人によると、ハイパーループ・ワンは現在では従業員のほとんどを解雇し、テストコースや機械など残された資産を売却しようとしている。2022年初めの時点では200人以上を雇用していた。ロサンゼルスのオフィスも閉鎖された。資産売却を監督する残りの従業員には、12月31日に雇用が打ち切られるとの通知があった。
ドバイを本拠とするコングロマリット、DPワールドは2016年からハイパーループ・ワンを支援し、株式の過半数を保有している。残りの知的財産はDPワールドに移管されると、事情に詳しい人物は語った。
DPワールドは広報担当者を通じてコメントを控えた。ハイパーループ・ワンの最高経営責任者(CEO)代行であるラジャ・ナラヤナン氏もコメントの要請には応じていない。
ハイパーループ・ワンが創業したのは、資産家イーロン・マスク氏がハイパーループ技術のビジョンをまとめた白書を発表した翌年の2014年。同社はそれ以来、人々の想像力をかきたててきた。そのコンセプトは渋滞の解消を約束する新しい輸送テクノロジーだった。
マスク氏自ら「ハイパーループ」開発に乗り出す公算-驚き広がる