概要:ロンドン市民の大半は、郊外でより手頃な価格の住宅を探すよりも、市内にとどまり英住宅市場の嵐を乗り切りたいと考えている。
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2023年12月26日 11:46 JST
市民が郊外の住宅に投じた金額約290億ポンド、22年の約3分の2
住宅ローン金利低下で転出率はさらに鈍化するとハンプトンズは予想
ロンドン市民の大半は、郊外でより手頃な価格の住宅を探すよりも、市内にとどまり英住宅市場の嵐を乗り切りたいと考えている。
英不動産ブローカー、ハンプトンズ・インターナショナルのリポートによると、ロンドン市民が今年、郊外の住宅に投じた金額はおよそ290億ポンド(約5兆2400億円)と、2022年の約3分の2。住宅の値ごろ感に押されロンドンからの転出率はこの1年で上昇したものの、市民が郊外に購入した住宅数は6万9000戸強と、9年ぶり低水準となった。
ハンプトンズの調査責任者、アネイシャ・ベバリッジ氏は首都圏の周囲を走る環状高速道路(M25)に触れ、「23年の英国全土の住宅販売件数はわずか100万戸前後で、M25の外に転出するロンドン市民も減った。傾向として転出組は初回購入者かより小さい住宅に移る人だ」と分析した。
英国の家計は今年、14年ぶり高水準に達した住宅ローン金利と根強い高インフレに圧迫されている。KPMGが9月に発表したリポートによると、借り入れコスト高騰で、英国の住宅ローン利用者の4分の1近くが自宅を売却してより安い物件に引っ越すことを検討しているという。
ロンドンからの転出組で郊外の新居の予算を減らした人々の割合は約80%と、22年の60%から上昇。郊外での住宅購入コストは平均で39%減少した。また、部屋数がより少ない住宅に移った転出組は約41%と、最低だった20年の23%から上昇した。
ただ、イングランド銀行(英中央銀行)の政策金利据え置きを受けて住宅ローン金利が徐々に低下する中、若年層がロンドンに住宅を購入できる可能性が高くなるにつれて、転出率はさらに鈍化するとハンプトンズは予想している。不動産情報サイト、ズープラの別のリポートによると、ロンドンの家賃上昇ペースは来年に鈍化する見込みで、それも住民が市内にとどまる一因となる可能性がある。