概要:ニール・ヘネシー氏は10年以上にわたり、ダウに対する正確かつ強気な予想を的中させてきた実績があります。彼が運用するファンドの組入上位10銘柄を紹介します。
2023年はS&P500が約25%、ハイテク株の多いナスダックは約45%、ダウは約12%の上昇で終えることになった。これはエコノミストも投資家も同じように2023年に期待しておらず、景気後退すら予想していたことを考えれば決して悪くない動きだった。
しかし、ヘネシー・ファンズ(Hennessy Funds)のチーフマーケットストラテジストであるニール・ヘネシー(Neil Hennessy)氏によれば、株式市場は主に「マグニフィセント・セブン(メガテック5銘柄にテスラとエヌビディアを加えた時価総額最大規模の7銘柄)」の影響で割高になっているという。12月20日時点での7社の過去12カ月の平均株価収益率(PER)は50倍だったのに対し、S&P500は26倍だったのだ。
この過度に集中した状況にもかかわらず、2024年の経済状況は上向きになるとヘネシー氏は見ている。インフレ率は金利とともに徐々に低下しており、労働市場も引き続き堅調であると同氏は語っている。また依然として多くの現金が流通しており、マネーマーケットファンドには約7兆ドル(約980兆円、1ドル=140円換算)が眠っており、さらに18兆ドル(約2520兆円)が普通預金と当座預金に預けられているというデータもある。
1兆ドル規模の運用責任者は2024年の景気後退を予想。市場の混乱から身を守るための12の投資
ヘネシー氏は、今後12~18カ月でダウ平均株価は3万8000ドルに近づき、さらにはそれを超える可能性もあると予想している(12月26日の終値は3万7386ドルだった)。
ヘネシー氏は過去にも、ダウ平均に対して強気で正確な予測をした実績がある。2013年にはダウ平均が5年以内に2万ドルに達すると予想し、4年後の2017年1月にその予想が現実のものとなった。そして2018年、過去10年で株価にとって最悪の年の終わりに、ファンダメンタルズは2019年まで好調を維持するとヘネシー氏は話し、同年にダウ指数は2万5000ドルから2万8000ドル超に上昇したのだった。
とはいえ、この一連の強さが再びマグニフィセント・セブンに利益をもたらすと思うのなら、おそらくそれは間違っている。彼が見てきたように、投資家は成長株に走り、バリュー株から離れているのだ。
「1990年代後半、私たちはこのような状況を目の当たりにしました。バリューファンドマネジャーが全員解雇され、ドットコムの成長モードに乗っていた若いアナリストやポートフォリオマネジャーが抜擢されたのです」とヘネシー氏は話す。
「そして2001年と2002年、市場はバリュー株ではなくグロース株に向かったために、その価値の45%以上を失いました」
そして今、それと同じことが起こっている。市場ではAI関連株や暗号資産(仮想通貨)をめぐって、根拠のない高揚感が強すぎるとヘネシー氏は話す。そして最終的には、投資家は再びバリュー株に注目するようになるという。なぜならバリュー株は、堅実なキャッシュフローと収益の伸びを持ち、配当金を得られ、副次的に資金を蓄えていることで、収益性が高いからだ。そして資金がバリュー銘柄に戻れば、市場を押し上げることにつながると彼は付け加える。
彼にとってのスイートスポットは、時価総額が10億〜100億ドル(約1400億〜1兆4000億円)、株価売上高比率(PSR)が1.5倍以下、そして前年を上回る年間利益を持つ中型バリュー株だ。そして、その銘柄は3カ月と6カ月にわたっての株価が上昇していなくてはならないという。この範囲に入る企業は、市場がどのような動きをしようとも有利な地位を確保しているという。経済の津波に耐えられるだけの規模があり、中小企業を買収する能力がある。そして大企業に買収されるのにも十分な規模だと彼は説明する。
ヘネシー氏は、企業をセクターに基づいて検討したり、特定のマクロ環境でどのようなタイプの企業が成功する可能性があるかは考慮しない。なぜなら、それは意思決定のプロセスに感情を加えることを意味し、彼はそれを避けているからだ。
「ヘネシー・コーナーストーン・ミッドキャップ 30ファンド(HFMDX)」はこれらの基準を満たす上位30銘柄を同額購入し、1年間保持した後に再調整する。2003年9月の組成以来、このファンドは評価額が140%以上上昇している。 2023年の上昇率は約20%だ。
2023年10月31日時点におけるヘネシー氏のポートフォリオ上位10銘柄は以下の通り。
Gap, Inc. (GPS)
Liberty Energy, Inc.(LBRT)
Comfort Systems USA, Inc.(FIX)
Abercrombie & Fitch Co.(ANF)
Parsons Corp.(PSN)
EnLink Midstream, LLC(ENLC)
Guess, Inc.(GES)
XPO, Inc.(XPO)
Plains GP Holdings LP(Class A) (PAGP)
Sterling Infrastructure, Inc.(STRL)
※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。