概要:昨年の富豪番付でジェットコースターのように順位が目まぐるしく変化したインドのゴータム・アダニ氏がアジア一の資産家の座に返り咲いた。アダニ氏のコングロマリットに対して空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチが投げ掛けた不正会計疑惑を巡りインド最高裁が新たな調査は不要と判断したことが追い風となった。
印最高裁、ヒンデンブルグのリポート巡る追加調査不要と判断
最高裁判断受けアダニ氏の資産急増、アンバニ氏は僅差で2位に
ゴータム・アダニ氏(2022年9月27日)
ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、アダニ氏の純資産は1日で77億ドル増え976億ドル(約14兆円)となり、インドのムケシュ・アンバニ氏からアジアの富豪首位の座を奪還した。リライアンス・インダストリーズ会長のアンバニ氏は純資産が970億ドルと、僅差で2位となった。
1980年代にダイヤモンド貿易から事業を拡大し、一代で港湾や電力事業も手掛けるコングロマリットを構築したアダニ氏にとって昨年は波乱に満ちた1年だった。ヒンデンブルグが指摘した不正疑惑をアダニ・グループは否定したものの、グループの株式時価総額は昨年、一時1500億ドル余り失われた。このため同社は投資家や金融機関からの信頼回復や債務の返済、規制当局の懸念の払拭(ふっしょく)に何カ月も費やした。
インド最高裁が今週、同国の市場規制当局に対し、アダニ・グループに関する調査を3カ月以内に終了するよう命じ、これ以上の調査は不要との判断を下したことから、同グループの株価は大きく上昇。1年にわたる空売り騒動に事実上終止符が打たれた。
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